ルーマニアと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「ドラキュラ城」や「美しい田園風景」、そして東欧ならではの古都の雰囲気でしょう。ヨーロッパの中でも物価が安く、観光地化されすぎていないローカルな魅力が残る国として、近年は日本人旅行者にもじわじわと人気が高まりつつあります。
しかしその一方で、「治安ってどうなの?」「女性ひとりで歩いても大丈夫?」という声も根強くあります。
- 女性旅行者の視点から見たルーマニアの治安や注意点
- 実際に起こった事件の事例
- ルーマニアで避けるべきエリアと安全な行動
行くかどうかを迷っている方も、すでに計画中の方も、この記事を読めばきっと不安が和らぎ、自信を持って旅立てるはずです。
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ルーマニアの治安は悪い?女性旅行者に知ってほしい危険性について

ルーマニアは全体的に平和な国ですが、女性のひとり旅や少人数グループでの旅行では、気をつけるべき場面があることも事実です。
この章では、ルーマニアを旅する女性が特に意識すべきリスクや日常的に遭遇しうるトラブルについて、実体験や傾向をもとに解説します。

夜間の一人歩きや人通りの少ないエリアでは犯罪の危険あり
昼間は比較的安全とされる街中でも、夜になると雰囲気が一変するエリアがあります。特にブカレストの旧市街の裏路地や、地方都市の照明が少ない住宅街では、ひと気が減ったとたんに“狙われやすい空気”に変わるのが実感されるでしょう。
現地では、外国人観光客、とくに女性の単独行動を“弱者”と捉えて接近してくる人物もゼロではありません。酔っ払いが絡んできたり、後をつけられるといった事例も報告されています。
とはいえ、危険を避けるための行動はとてもシンプルです。日没後は必ず人通りのあるメイン通りを選び、少しでも不安を感じたら配車アプリでの移動を検討する。そうした行動一つ一つが、トラブルの芽を摘むことにつながります。

公共交通機関でのさりげないセクシャルハラスメントに注意
バスや電車、トラムといった公共交通機関では、特に混雑時に体の接触を装って接近してくる男性の存在に注意が必要です。露骨ではないため気づきにくいのですが、視線や距離感、わずかな接触が不快に感じることも。
実際に、混雑したトラム内で不自然に密着してくる中年男性に不安を覚えた旅行者が、降車後に追跡されそうになったというケースも報告されています。
車内でのトラブルを避けるには、座席が空いていれば着席する、立つ場合は柱の近くなど壁を背にできる位置に立つ、明らかに近すぎる人からは距離をとるなど、ちょっとした位置取りがポイントになります。
また、何かあれば周囲の人に「Please stop(やめてください)」と声を出す勇気も忘れずに。ルーマニア人は基本的に協力的なので、明確な意思表示をすれば味方になってくれることが多いです。

現地での日本人旅行者への事件はまれだが、油断は禁物
ルーマニアで日本人旅行者が深刻な犯罪被害に巻き込まれたという報告は、公式にはほとんど確認されていません。観光地では親日的な空気があり、「日本から来たの?ようこそ!」と笑顔で迎えてくれる場面も多くあります。
しかし、そうしたフレンドリーな雰囲気に油断してしまうと、逆にトラブルに巻き込まれるきっかけになることもあるため注意が必要です。たとえば、「一緒に写真を撮ろう」と近づいてきて、スリや詐欺目的だったという事例も他国では少なくありません。

ルーマニアでは珍しいからといって、むやみに個人情報や滞在先を話すのは避けましょう。親しみやすさと警戒心、そのバランスをうまく取ることが、安全な旅につながるカギとなります。
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女性旅行者が知っておくべきルーマニアの事件と問題地域

ルーマニアは決して「治安が悪い国」ではありませんが、特定の事件や場所に対する不安が、特に女性旅行者の間で話題になることがあります。
この章では、過去に起きた実際の事件と、それがどのように旅の不安要素となっているのか、また現地の人々が避けがちなエリアについても触れていきます。
「ルーマニア 女子大学生殺人事件」が女性旅行者の不安を強めた
2012年、ルーマニアで日本人女子大学生が遺体で発見された事件は、女性旅行者の間に大きな衝撃を与えました。
事件は首都ブカレストから南西の町で発生し、地元の男によって殺害されたとされます。容疑者は日本人旅行者を狙っていた可能性も指摘され、ルーマニア国内での女性単独旅行のリスクが注目されました。
この事件以降、治安に不安を感じる声が増え、特に地方都市や交通機関利用時の警戒が必要だとする旅行者の声も多く聞かれるようになりました。
ただし、この事件は犯人の特異性と警察の対応の遅れが複雑に絡んだ“非常に稀なケース”であり、日常的に同様の事件が起こっているわけではありません。しかしながら、個人で車に乗る・ヒッチハイクする・見知らぬ男性に声をかけられてついていくといった行動は、どんな国でもやはり避けるべきです。
「ルーマニア やばい森」として知られる“ホイア・バチュの森”の都市伝説とリアルな危険性
SNSやYouTubeなどで“やばい森”として拡散されているのが、クルジュ=ナポカにある「ホイア・バチュの森」です。
この森は「世界で最も呪われた場所」として紹介されることもあり、幽霊やUFO、謎の失踪事件といった都市伝説が後を絶ちません。
都市伝説の真偽はさておき、この森を訪れようと考えている人にとって大切なのは、“スピリチュアルな怖さ”よりも、実際の地理的・治安的なリスク”です。
- 森の中は広大で迷いやすい
- 街灯もなく夜間は真っ暗になる
- スマホの電波が入りにくいエリアが多い
- 単独行動では何かあった時に助けを求めにくい
このように、自然環境自体が持つリスクや、アクセスの難しさ、地元住民の警戒感から見ても、特に女性の一人旅で足を踏み入れるには注意が必要な場所といえます。
もし訪れるなら、ガイドツアーを利用する、日中の明るい時間帯に行く、複数人で行動するなど、万全の準備をして臨むべきエリアです。
女性視点で見るルーマニアの“安心できる街”と“気をつけるべき街”

ルーマニアには、多くの観光客が訪れる美しい街や自然豊かな地域が数多く存在します。しかし、治安やインフラの状況は街によって大きく異なり、特に女性旅行者の場合は、滞在先や訪問先の選び方が安全性を左右します。
この章では、実際に旅行者からの評価が高い“安心できる街”と、注意が必要とされるエリアを比較しながら紹介していきます。
ブラショフ・シギショアラなどの観光地は治安が良く、落ち着いて過ごせる
まず安心して訪れることができる街として挙げられるのが、トランシルヴァニア地方の観光都市「ブラショフ」「シギショアラ」などです。
これらの街は、治安が良いだけでなく、観光インフラもしっかり整っており、英語が通じる店や施設も多いため、女性一人旅でも快適に過ごすことができます。
ブラショフは中世の雰囲気が色濃く残る街で、中心部にはカフェやレストランが立ち並び、夕方でも人通りが多く、明るく清潔な印象を受ける街並みが広がっています。
また、シギショアラはドラキュラ伝説の起源地としても知られており、街全体が世界遺産に登録されているコンパクトな城塞都市です。迷いにくく、歩いて回れるサイズ感が女性旅行者には特に嬉しいポイントです。
いずれの街も、夜遅くまで出歩く必要がなければ非常に安全で、「中世ロマンと安心感が共存するエリア」と言っても過言ではありません。
ブカレストの一部地区ではドラッグ取引や窃盗が報告されている
首都ブカレストは、ルーマニア最大の都市としてあらゆる魅力が集まる一方、一部のエリアでは治安の不安定さも指摘されています。
特に注意したいのが、南部にあるフェレントゥァリ地区や、北駅(Gara de Nord)周辺の一部通りです。
これらのエリアでは、ドラッグの取引、路上での物乞い、置き引き、さらには観光客を狙った詐欺まがいの行為が報告されています。
もちろん、すべての地域が危険というわけではありません。ブカレストにもおしゃれで治安の良い地区はたくさんありますが、初めて訪れる旅行者がうっかり立ち寄ってしまいがちなエリアには慎重になるべきです。
もしブカレストに滞在する場合は、旧市街(Lipscani地区)や大学周辺(Universitate)など、警察の巡回があり観光客の多いエリアを選ぶと安心です。
地方都市では英語が通じにくく、緊急時の対応に不安が残る
地方の小規模都市や村落では、治安そのものは良好であっても、外国語が通じにくいことが一つのハードルになります。
特に緊急時や体調不良時、道に迷ったときなどに、言葉の壁が大きな不安につながるケースがあります。
また、観光地化されていない地域では、夜になると街全体が静まり返り、人の姿がなくなることも珍しくありません。このような場面では、たとえ安全な場所でも、不安を感じてしまうことがあります。
事前に「Google翻訳」や「オフラインマップ」をダウンロードしておく、「英語が通じない場所もある」という前提で旅の準備をするなど、少しの備えが安心感を高めてくれます。
女性旅行者が避けたい行動とおすすめ対策

ルーマニアは決して「女性一人旅ができない国」ではありませんが、やはり文化の違いや環境の変化から生じるリスクは無視できません。
この章では、女性旅行者にとって“避けるべき行動”と、それに代わる“おすすめの対策”を具体的に紹介していきます。
ちょっとした意識の差が、旅の安心感を大きく左右します。
露出の多い服装は控える
ルーマニアの都市部では、ファッションの自由度が高く、露出の多い服装をしている地元の若者も見かけます。
とはいえ、旅行者が同じような服装で歩いていると、「外国人観光客」として目立ちやすく、不要な視線や声かけの対象になりやすいのが実情です。
特に地方や保守的なエリアでは、肌の露出が多い服装は軽んじられる印象を与えることもあり、誤解やトラブルの引き金となる可能性も。
そのため、肩や脚が大きく露出する服装は避け、羽織ものや長めのスカート・パンツスタイルでの移動が安心です。
宗教施設や地方の村に足を運ぶ予定がある場合は、控えめで清潔感のある服装が、敬意の表れとして好まれます。
タクシーは配車アプリ(Boltなど)で呼ぶ
ルーマニアでは正規のタクシーも走っていますが、観光客を狙ったぼったくりや遠回りなどの被害が報告されています。特に空港や駅のタクシー乗り場では、正規料金を大幅に上回る金額を請求されるケースもあり、注意が必要です。
その対策として広く使われているのが、ルーマニアでも利用可能な配車アプリ「Bolt(ボルト)」や「Uber」です。
事前にルートと料金が明示され、ドライバーの評価も見られるため、初めての旅行者でも安心して利用できる点が魅力です。
特に夜間や人通りの少ない場所から移動する場合は、配車アプリで安全性を確保することが最も賢明な選択肢と言えるでしょう。
宿泊は人通りの多いエリアを選ぶ
ホテルやゲストハウスを選ぶ際の基準として、「価格」や「レビュー」だけでなく、“立地”が非常に重要なポイントとなります。
ルーマニアでは、中心地から少し離れたエリアに格安の宿が点在していますが、周辺に人通りが少なく、夜になると街灯が消えるような場所も少なくありません。

こうした場所では、たとえ建物自体が安全でも、“宿に帰るまでの道のり”に不安を感じることがあるため、できるだけメインストリートや観光エリアに近い場所を選ぶことが安心に繋がります。
また、レビュー欄に「女性の一人旅でも安心だった」というコメントがある宿は、実際の体験に基づいた信頼材料になります。予約サイトの地図機能やストリートビューなどを活用して、宿泊先周辺の雰囲気も事前にチェックしておくと安心です。
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まとめ|ルーマニアは一部で治安が不安定な地域もあるが、全体的には穏やかな国
ルーマニアに対する「危険そう」「怖いかも」といった印象は、インターネットや一部メディアでの過剰な情報に影響されている部分も多くあります。
確かに、首都ブカレストの一部エリアや夜間の人通りの少ない場所では注意が必要ですが、ルーマニア全体として見ると、治安は決して悪くなく、むしろ多くの場所で穏やかな雰囲気が感じられます。
女性旅行者が旅を安全に楽しむためには、以下のポイントを押さえることが大切です:
- 夜間の一人歩きは避け、人の多いエリアを選ぶこと
- 公共交通やタクシーの利用時には警戒を怠らないこと
- 服装や振る舞いは“地元に溶け込む”意識で控えめに
- 宿泊地の立地や周辺環境も重視すること
そして何より大切なのは、過剰に怖がりすぎず、「備えはするけど楽しむ気持ちを忘れない」こと。
ルーマニアの人々は、親切であたたかく、観光客にも好意的です。旅先で出会う景色や文化、人とのふれあいを心から楽しめるように、ほんの少しの警戒とリサーチが、より安心な旅につながります。
ルーマニアは、自然も街も、どこか懐かしく美しい国。正しい情報をもとに準備を整えれば、女性一人でもきっと素敵な思い出が作れる場所です。