ビールやソーセージ、美しい街並みと中世の歴史が息づくドイツ。
ヨーロッパの中でも治安が良いと言われるこの国は、多くの観光客にとって魅力あふれる旅先のひとつです。
しかしその一方で、「知らずにやると罰金になる」「文化の違いから誤解を招く」といった日本とは異なるルールやマナーも数多く存在します。
安全で快適な旅を楽しむためには、ドイツならではの注意点を事前に把握しておくことがとても大切です。
- ドイツ旅行で特に気をつけたい10のポイント
- 治安が不安視されるエリア
- 文化的な心構え
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ドイツ旅行で注意すべき10のポイント

ドイツは旅行先としての魅力が豊富な一方、観光客が思わぬトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
この章では、実際の体験談や現地事情をもとに、ドイツ旅行中に特に注意しておきたい10のポイントを詳しく解説します。
スリ・置き引きに要注意!観光地や電車内ではバッグは前に
ドイツは比較的治安が良い国とされていますが、観光客が集まるスポットではスリや置き引きの被害が日常的に発生しています。特にベルリンやミュンヘン、ケルンといった大都市では、電車内や駅のホーム、美術館、クリスマスマーケットなどでバッグの中身を抜き取られるケースが後を絶ちません。
持っていた荷物に手をかけられて引っ張られました。混んでいて人が多かったです。気をつけてカバンを強く持っていたので被害はありませんでしたが、次の日近くを通った時に被害に遭われた方がいたので、注意が必要です。リスクメイトの投稿より
彼らの手口はとても巧妙で、気づいた時には財布やスマートフォンが消えているという被害が多発しています。被害に遭わないためには、リュックではなく、身体の前で持てるショルダーバッグを使う、ファスナーを常に閉じる、荷物を椅子に置きっぱなしにしないといった基本的な対策が重要です。

また、観光中に写真を撮る際なども、バッグから一瞬目を離すだけで狙われる可能性があります。貴重品は常に自分の視界の中に置いておくことが、安全な旅への第一歩です。

無賃乗車で高額罰金?チケットは必ず購入&打刻を忘れずに

ドイツの公共交通機関は基本的に信用乗車制です。つまり、改札口がなくても、チケットを持っていない=無賃乗車とみなされ、罰金対象になるというルールです。
しかもこの罰金、実はとても高額で、2025年現在、違反者には60ユーロ(約9,500円前後)の罰金がその場で課されます。しかも「知らなかった」「外国人だから」という言い訳は一切通用せず、観光客であっても容赦なく罰則対象になります。
さらにややこしいのが「打刻制(スタンプ)」の存在です。たとえチケットを購入していても、乗車前に打刻機で刻印していなければ未使用扱いとなり、同じように罰金が科されます。
特に初めて訪れる方は、チケットを買うだけで安心せず、必ず刻印機で打刻したかどうかを確認することが大切です。駅や停留所の近くにある小型の黄色または青色のスタンプ機がそれにあたります。
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日曜はお店が休み!食料やお土産は土曜までに買っておこう
ドイツでは、日曜日はほとんどの店舗が営業していません。これは法律によって定められており、スーパーマーケット、ショッピングモール、ドラッグストアに至るまで、基本的に休業となります。
旅行者にとっては、「日曜にまとめて買い物しよう」と思っていた予定が狂う原因になりがちです。特に、月曜出発のフライト前にお土産を買おうとして、どこも開いていなかったという声はよく聞かれます。
例外として、中央駅構内の売店や空港内の店舗、一部観光地のショップなどは営業していますが、選択肢が限られ、価格も割高です。そのため、飲み物やちょっとした食べ物、お土産品などは、土曜日のうちにまとめて用意しておくことが安心につながります。
トイレは有料が基本!小銭の持ち歩きはマスト

日本では無料で使える公共トイレが多いですが、ドイツでは有料トイレが一般的です。駅やショッピングモール、観光地の施設など、ほとんどの場所で50セント〜1ユーロ程度の利用料金がかかります。
中には、バーコード付きのレシートや割引クーポンが出る「Sanifair(サニフェア)」というトイレシステムもあり、支払いは硬貨またはカードで対応可能です。ただし、田舎や小規模施設では現金しか使えない場所も多いため、常に小銭を持ち歩いておくのがベストです。
突然の腹痛や子どもの急なトイレでも困らないように、コインは細かく用意しておきましょう。トイレの入口に自動ゲートがある場合もあるため、焦らず確認しながら進むことが大切です。

炭酸入りの水に注意!「Still Water」が欲しいときの頼み方
ドイツのスーパーやレストランで「水」を頼むと、炭酸入りのミネラルウォーター(Sprudelwasser)が出てくるのが一般的です。初めて訪れる旅行者の中には、「普通の水が欲しかったのに!」と驚く方も多いでしょう。
炭酸が苦手な方や、小さな子ども連れの場合には、注文時に「スティルウォーター(Still Water)」もしくは「シュティレス・ヴァッサー(Stilles Wasser)」と明確に伝えることで、炭酸なしの水が提供されます。
また、スーパーで購入する際も、ラベルの記載を確認しましょう。“Classic”や“Medium”と書かれているものは炭酸入り、“Still”や“Naturell”は炭酸なしです。
知らずに炭酸水を買ってしまい、口をつけた瞬間にびっくり…なんてことを避けるためにも、表記に注意して選ぶのがポイントです。
クレジットカードが使えない?現金を持っておくべき理由

ヨーロッパ=キャッシュレスが進んでいるイメージがありますが、ドイツではいまだに「現金主義」の文化が根強く残っています。特に地方都市やローカルなカフェ、小規模のレストランでは、カードが使えない、もしくは最低金額制限がある場合も。
たとえば、「10ユーロ以下の会計は現金のみ」「VisaやMasterCardは不可でECカード(ドイツ国内専用)しか使えない」といったケースも珍しくありません。
そのため、旅先ではある程度の現金(50〜100ユーロ程度)を常に手元に持っておくことが推奨されます。ATMは駅や空港、市内に点在しており、日本のクレジットカードでも引き出せる機械が多いですが、利用手数料や引き出し上限額に注意が必要です。
現金とカードのバランスをうまく取りながら、いざという時の支払いトラブルを回避しましょう。

夜の中央駅周辺は避けよう|治安が不安定なエリアに注意
ドイツの大都市には立派な中央駅があり、移動の拠点として非常に便利ですが、夜間になると雰囲気が一変し、治安が不安定になるエリアも存在します。特にベルリン、フランクフルト、ハンブルクなどの大きな都市では、中央駅周辺で薬物使用者、ホームレス、酔っ払いの姿が目立つ時間帯があります。
観光客が巻き込まれることは稀ですが、
- 声をかけられる
- 後をつけられる
- 荷物を狙われる
といったケースも報告されており、できるだけ日没後に駅の外で長時間滞在するのは避けた方が無難です。
フランクフルト地元民である友人達と街歩きを楽しんでいると、フランクフルトの風俗街であるエルベ通り周辺にやってきました。この辺りはドラッグをやっている中毒者がゴロゴロいて、寄声を上げたり地面に横たわったりしていて異様な雰囲気でした。 ネオンや派手な看板が海外ならではの雰囲気を醸し出していて、物珍しさから写真を撮ろうとしていると、いきなりスマホをひったくられました。 相手がおそらく薬物中毒者で足下がおぼつかなかったのと、友人が脚が速く力が強かったことから、なんとかスマホを取り戻すことができましたが、かなり怖い経験でした。治安の悪い地区では安易に貴重品を取り出さないようにすることが大切だと思います。リスクメイトの投稿より
また、暗い裏路地や人通りの少ないエリアには足を踏み入れず、移動の際はなるべく明るい場所を選ぶこと、必要があればタクシーや配車アプリを利用することが安全確保につながります。
自転車専用レーンを歩くと危険!街中での歩き方マナー
ドイツの街中では、歩道と自転車専用レーンがきっちり分かれていることが多く、歩行者がうっかり自転車レーンに入ると非常に危険です。自転車の利用者も多く、スピードを出して走行していることが多いため、衝突事故になる可能性もゼロではありません。
特に大都市では、赤や青で色分けされたレーン=自転車専用エリアです。そこを歩いているとベルを鳴らされたり、大声で注意されたりすることもあり、場合によっては睨まれてしまうこともあります。
道を歩くときは、自分が今立っているのが「歩道」なのか「自転車道」なのかを常に意識することが重要です。写真撮影や地図確認で立ち止まるときも、周囲を確認してからにしましょう。
レストランではチップを忘れずに|5〜10%が目安

ドイツのレストランでは、サービス料が料金に含まれていないことが多いため、チップ(Trinkgeld)を渡すのが一般的なマナーです。レジや支払い時に、伝票の合計に対して5〜10%程度を上乗せして支払うのが目安となります。
たとえば、食事代が18ユーロだった場合、「20ユーロでOK」と伝えて、スマートにチップを含めるのがドイツ流のスタイルです。カード払いでもチップを上乗せする意思を伝えれば対応してもらえますが、小額の現金チップを置いていく人も多いです。
もちろん、サービスが悪いと感じた場合はチップを少なくする、あるいは渡さないこともありますが、基本的には「感謝の気持ち」としての意味合いが強いため、何かしらの形で気持ちを示すのが良い印象につながります。
公共の場では静かに|ドイツ流のマナーを守ろう
ドイツでは、公共の場での静けさが重視される文化があり、特に電車やレストラン、ホテルの共有スペースでは「静かに過ごすこと」が当然とされています。日本では当たり前のような「大声での会話」や「電話の通話」も、ドイツではマナー違反とみなされる場合があります。
例えば、電車の中で日本語で盛り上がって話していたら、現地の人から「静かにして」と注意されたという話も実際によく聞かれます。これは観光客だからというより、“場の空気を読む”ことがドイツではとても重要だからです。
また、ホテルの廊下での大声や、深夜の階段の足音もクレーム対象になりやすいため、静けさへの配慮は滞在中ずっと意識しておくことをおすすめします。
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ドイツの治安が悪いとされる場所とその特徴

ドイツ全体としては治安が良い国とされていますが、それでも一部の都市やエリアでは注意が必要な場所が存在します。
特に大都市では、薬物問題やホームレスの増加、深夜の犯罪が報告されており、旅行者にとっても無視できない情報です。この章では、代表的な3つの“注意すべきエリア”とその特徴を解説します。
ベルリンのアレクサンダープラッツ周辺は夜間のトラブルが多い
ベルリンの中心部、アレクサンダープラッツ(Alexanderplatz)は、ショッピングモールやレストラン、観光スポットが集まり、昼間は多くの観光客でにぎわう場所です。しかし、夜になると雰囲気が大きく変わるため注意が必要です。
暗くなるにつれて、若者グループや酔っ払い、物乞いが増え、トラブルが発生しやすい環境に変わっていきます。特に駅周辺や広場では、ドラッグの取引や口論に発展する場面を見かけることもあり、観光客が巻き込まれるリスクはゼロではありません。
一人歩きや遅い時間の外出は控える、近道でも暗い通りは避ける、明るく人通りのあるルートを選ぶなど、時間帯やルート選びに細心の注意を払うことが、安全な滞在につながります。
フランクフルト中央駅周辺では薬物・ホームレス問題が深刻化
ドイツの経済都市フランクフルトも、旅行先として人気がありますが、中央駅(Frankfurt Hauptbahnhof)周辺は、ドイツ国内でも特に治安の悪化が懸念されているエリアのひとつです。
日中でも薬物中毒者が路上に座り込んでいたり、ホームレスが多く集まるエリアがあり、初めて訪れる旅行者にはショックを受けるほどの光景かもしれません。夜になるとその数が増え、暴力沙汰やスリの報告もあります。

ただし、駅の構内や構内のカフェ、主要なホテル周辺は比較的安全です。問題は駅の西側や裏通りに入ったときで、なるべくそちらには立ち寄らず、必要がなければ駅の外では長居しないことが賢明です。
フランクフルトはビジネス都市でもあるため、昼と夜でエリアの印象が大きく変わる点にも注意が必要です。
ハンブルクのレーパーバーン地区は歓楽街として注意が必要
ハンブルクにあるレーパーバーン(Reeperbahn)は、ナイトライフを楽しめる歓楽街として知られる一方、スリや詐欺、ぼったくり被害が発生しやすいエリアでもあります。バーやクラブ、ストリップ劇場などが立ち並び、夜になると多くの人でにぎわう場所です。
観光地として紹介されることもありますが、無防備に歩いていると、突然声をかけられたり、しつこく呼び込みをされたりと、不快に感じる場面もあるかもしれません。特に一人旅や女性同士での訪問は、慎重な行動が求められます。

さらに、酒に酔った観光客を狙って高額請求をする店も存在するため、「あやしいな」「入るか迷うな」と思った場所には近づかないのが正解です。夜のエンタメを楽しみたい場合でも、信頼できる店舗を事前に調べてから訪れるようにしましょう。
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まとめ|ドイツ旅行で安全かつ快適な時間を過ごすために
ドイツは治安が良く、公共交通や観光インフラが整った旅行しやすい国ですが、文化や習慣の違い、そして地域による治安のギャップを理解せずに旅をすると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
本記事でご紹介したように、スリや無賃乗車への罰則、チップの習慣、静寂を重んじる文化、そして曜日による営業スタイルの違いなど、事前に知っておくだけで回避できる問題は少なくありません。
重要なのは、日本とは違う“ドイツの常識”に敬意を持ち、現地に合わせた振る舞いを心がけること。それだけで旅の満足度はぐっと上がり、現地の人々との交流もスムーズになります。
ドイツ旅行は、注意点さえ押さえていれば、誰にとっても安心で充実した体験になるはずです。
知識を持って旅に出れば、あなたのドイツ滞在はきっと素晴らしいものになるでしょう。
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