南アジアに位置するバングラデシュ。
美しい自然、独自の歴史、素朴な人々との出会いが待つ国ですが、同時に「治安が不安定そう」「女性一人旅は危ないのでは?」という声も少なくありません。
ネット上では、「行ってみたら親切な人ばかりだった」という体験談がある一方で、デモやテロ、犯罪への注意喚起も多く見られます。
とくに初めての訪問を考えている方、あるいは女性一人旅を検討している方にとって、「本当に今、安全に旅行できるのか?」「現地の文化やルールを知らずに失礼にならないか?」という不安はとても現実的です。
- バングラディシュ旅行が危険な理由
- 女性にとっての治安状況
- バングラデシュの入国条件
- バングラデシュの知っておくべき文化
安全な旅行をするためにも、ぜひこの記事を参考にして下さい。
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バングラデシュ旅行が危険と言われる3つの理由

バングラデシュは、旅行者の受け入れ体制が整ってきているとはいえ、まだまだ「安全な観光地」とは言い切れない側面が残っているのが現実です。
その理由は、政治的・社会的な背景と、都市部でも頻発する軽犯罪のリスクにあります。ここでは、バングラデシュが“危険”とされる主な要因を3つの視点から解説していきます。
政治デモやテロの影響で治安が不安定な時期がある
バングラデシュでは、定期的に大規模な政治デモやストライキ(ハルタル)が行われています。
これらは主に与野党の対立や政策への反発に端を発するもので、道路封鎖、交通混乱、商業施設の閉鎖などを引き起こすこともあります。
デモ自体が平和的であっても、現場では興奮状態の群衆に巻き込まれたり、予期せぬ暴動に発展するケースも報告されています。外国人であっても、間違って集団の中に入ってしまえば、身の危険に直結する可能性があるのです。
さらに、過去にはイスラム過激派によるテロ事件も発生しており、特にダッカなどの都市部では、外国人が集まるレストランやホテルが狙われたこともあります。現在は警備体制が強化されていますが、情勢が不安定なタイミングでは外出を控える判断が必要です。
都市部でもスリ・強盗などが日常的に発生している
観光の中心となるダッカやチッタゴンといった都市部でも、スリ・ひったくり・置き引き・強盗などの軽犯罪は日常的に発生しています。特に人混みの中や夜間は要注意です。
多くの旅行者が口にするのが、「治安は悪くないが、油断するとすぐやられる」という現地特有の雰囲気です。
- 観光地でスマホや財布をポケットに入れて歩いていたら、すぐ盗られた
- リキシャに乗っていたらバッグを引ったくられた
- ATM付近で現地人に声をかけられ、その隙にカードをスキミングされた
こういった被害は、防ごうと思えば防げるものが多いだけに、準備と注意が非常に重要になります。
また、警察への通報や被害届の提出にも言語や文化の壁があるため、「そもそも事件に巻き込まれないこと」が最大の防御策になります。

外務省によると、一部の国境付近は危険レベル2(渡航は避けるべき)になっている

日本の外務省によると、2024年時点でバングラデシュ全域に対しては「十分注意(レベル1)」または「不要不急の渡航中止(レベル2)」の勧告が出されている地域もあります。
首都ダッカ:レベル1(注意は必要だが渡航可能)
一部の国境付近:レベル2(不要不急の渡航は避けるべき)
外務省の「たびレジ」に登録しておけば、現地の最新の治安情報や緊急時の連絡先、避難情報などがリアルタイムで届きます。実際に渡航を検討している場合は、必ず事前に登録することをおすすめします。
また、日本人が巻き込まれるケースとしては、軽犯罪や交通事故のほか、「政治デモに巻き込まれて身動きが取れなくなった」という報告も多くあります。
タイミングや地域によって安全度は大きく変わるため、渡航時期の選定にも十分な注意が必要です。
バングラディシュはイスラム!女性にとっては治安は△

バングラデシュは、国民の約9割がイスラム教徒というムスリム文化圏です。
そのため、旅行者、特に女性の立場で滞在する場合には、独特の宗教的・文化的価値観に注意しなければならない場面が多くあります。
ここでは、「女性が一人で出歩くこと」や「服装・態度に対する周囲の視線」など、実際に現地で困りやすい状況やリスクを、具体的に紹介していきます。

女性一人での外出はリスクが高く、トラブルが発生しやすい
バングラデシュでは、都市部であっても女性一人で外を歩いている姿はあまり見かけません。
女性の外出は基本的に家族や夫と一緒というのが一般的で、一人歩きの女性=“外国人”という目で見られることが多いです。そのため、街中を歩いていると、
- ジロジロと見られる
- 声をかけられる
- 写真を勝手に撮られる
- 冷やかしやセクハラまがいの言動を受ける
といった経験をする可能性があります。
たとえ明るい時間帯でも、人気の少ない路地や交通量の少ないエリアは避けたほうが無難です。
また、女性旅行者の間では「夜間の外出は極力避けるべき」というのが共通認識になっており、
ホテル選びも「女性が安心して出入りできる場所」「人通りの多いエリア」「女性専用フロアがあるホテル」などを重視する声が多く聞かれます。

服装・行動・会話における宗教的・文化的な配慮が必須
イスラム圏の国々では、女性の肌を見せること=礼儀を欠く行為と捉えられる傾向が強くあります。
バングラデシュでも、ノースリーブ、ショートパンツ、スキニージーンズなどは基本的にNGと考えたほうがよいでしょう。
現地女性の多くは、スカーフ(ヒジャブ)をまとい、サロワール・カミーズ(ゆったりした民族衣装)を着ています。
外国人旅行者であっても、それに近いスタイル、たとえば、
肩や胸元を隠せるストールを持ち歩く
七分袖や長袖のゆったりした服を選ぶ
ズボンまたは足首まであるロングスカートを着る
といった服装であれば、現地の人からも比較的好意的な目で見られるようになります。
また、男性とフランクに会話する際にも、ボディタッチや大きな声、フレンドリーすぎる態度は誤解を招く恐れがあります。
たとえ英語でコミュニケーションが取れても、異性との距離感には慎重さが求められる社会だと心得ておくべきです。
バングラデシュの入国条件と観光旅行への影響

バングラデシュはビザが必要な国のひとつであり、観光目的であっても事前の申請と準備が不可欠です。
また、新型コロナの影響を受けた各種規制も一部継続しており、健康関連書類や行動制限が発生するケースもあります。
ここでは、「入国前にすべきこと」「現地で気をつけるべき制限」を具体的に確認していきましょう。
ビザ取得は必須であり、渡航前にオンライン申請が必要
バングラデシュへの入国には観光ビザの取得が必須です。
以前は「アライバルビザ(現地空港での取得)」が可能な時期もありましたが、現在は日本国籍者の場合でも、事前のオンライン申請を推奨されています。
- 在日バングラデシュ大使館の公式サイトからオンライン申請
- 必要書類:パスポート、顔写真、旅程表、ホテル予約、航空券コピーなど
- 通常の観光ビザ:30日有効、シングルエントリー
審査には数日〜1週間程度かかることがあるため、渡航予定が決まったらなるべく早めに申請を済ませておくと安心です。
また、入国審査時にも書類の提示を求められるケースがあるため、プリントアウトして持参することをおすすめします。
健康証明・ワクチン接種の提出を求められる場合もある
新型コロナウイルスに関する入国制限は緩和されつつありますが、現在でも状況によっては以下のような書類の提出を求められることがあります。
- ワクチン接種証明書(英語)
- 72時間以内のPCR検査陰性証明書
- 健康状態申告書(到着前オンライン登録または紙提出)
また、バングラデシュは感染症のリスクが高い国でもあります。デング熱、A型肝炎、腸チフスなどに備えて、
予防接種の接種記録(イエローカード)を持参する旅行者も増えています。
入国時には健康状態を問われる場合があり、体温が高いと検査や待機措置を受けるケースもありますので、空港での体調管理にも注意が必要です。
入国後の行動制限や一部エリアへの入域規制がある
観光客であっても、入国後は以下のような制限がある点に注意しましょう。
- 一部の国境エリア(インド・ミャンマー付近など)は立入禁止または事前許可が必要
- 軍事施設や宗教施設の周辺での撮影・滞在に制限あり
- 治安の関係で特定のイベントや集会への参加が制限される場合もある
また、滞在先のホテルによっては「外国人の受け入れに慣れていない」「チェックイン時に追加で情報提出を求められる」こともあります。
特に地方部では、滞在情報が警察に報告されるシステムになっている場所もあるため、パスポートとビザのコピーを常に携帯しておくことが安心です。
都市部であっても、突発的なデモや政治集会があると外出制限がかかることがあり、滞在中の行動が制限される可能性も視野に入れておく必要があります。
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旅行者が誤解しやすい「バングラデシュ文化」

バングラデシュの文化は、イスラム教を基盤としつつも、インド亜大陸の影響を色濃く受けた独特なものです。
そのため、日本や欧米の常識で行動すると、現地では“失礼”や“誤解”につながることも少なくありません。
ここでは、旅行者が特に注意したい3つの文化的ポイントを紹介します。
礼拝の時間・場所・行為を尊重する意識が必要
バングラデシュではイスラム教徒が多数を占めるため、1日5回の礼拝(サラート)を行う姿を街中でも目にすることがあります。
モスク(イスラム寺院)や専用の礼拝スペースでは、お祈りの時間になると仕事や買い物を一時中断して祈る人たちが見られます。
旅行者が気をつけるべきは、こうした礼拝の時間や空間に対して、
- 不用意にカメラを向けること
- 礼拝スペースを通り道のように横切ること
- モスク内で騒がしくする、私語をすること
これらはすべて非常に失礼な行為とされ、トラブルの原因にもなります。
また、モスクを訪れる際は、靴を脱いで入る、肌を隠す、静かに行動するなどのマナーが基本。
男性でもハーフパンツやノースリーブはNG、女性はスカーフで髪を隠すとより礼儀正しいとされます。
“沈黙=無関心”ではない、控えめな国民性への理解

バングラデシュの人々は、とても礼儀正しく、控えめなコミュニケーションスタイルを持っています。
こちらから挨拶をすれば笑顔で返してくれますが、自分から積極的に話しかけてくる人はそれほど多くありません。
このため、旅行者の中には「冷たい」「無関心に見える」と感じる方もいますが、それは単に文化的な“距離の取り方”にすぎません。
また、英語が通じる相手でも、直接的な表現を避けたり、あいまいな返答をしたりするのは失礼を避けるための優しさなのです。たとえば、
- 強く断ることを避けて「あとでまたね」と言う
- ニコニコしているのに、実は困っている
- 謙遜や遠慮の文化が強く、自慢話や上から目線の態度を嫌う
こうした国民性を理解して接することで、本当に親切で穏やかな現地の人々との信頼関係が生まれやすくなります。

写真撮影や食事のマナーに宗教的タブーがある
旅行中に写真を撮る機会は多いですが、バングラデシュでは人物の撮影、特に女性の撮影には細心の注意が必要です。
イスラム教徒の女性は顔を見せること自体が家族以外には好ましくないと考えることもあり、無断での撮影や接写は非常に失礼とされるどころか、トラブルに発展する場合もあります。
男性や子どもであっても、一声かけてから写真を撮るのがマナーです。
「Can I take a photo?(写真撮ってもいいですか?)」の一言が、信頼と好意につながります。
また、食事に関しても注意点があります。
- 豚肉は宗教的に禁忌(ハラム)なので、話題に出すことさえ敬遠されることもあります
- 左手は“不浄の手”とされており、食事や握手の際には使わないのがマナー
- 食事を分け合う文化があり、過度な遠慮や断り方も相手を困らせることがあります
こうした文化的な違いを理解することで、「観光客」ではなく「歓迎される訪問者」として振る舞うことが可能になります。
バングラデシュ旅行を安全に進めるための対策

バングラデシュは観光地としての整備がまだ途上の国であり、旅行者自身が「身を守る力」や「情報収集力」を持っているかどうかが、安全かつ快適な滞在を左右します。
ここでは、トラブルに巻き込まれないために、最低限おさえておきたい実践的な対策を紹介します。
情勢確認と現地最新情報の把握を継続することが必須
最も基本でありながら、非常に重要なのが「最新情報を常にチェックする習慣」です。
バングラデシュは、政治的デモやストライキ(ハルタル)、突然の交通規制、宗教イベントなどが予告なく発生することがあるため、事前に状況を確認しておく必要があります。
- 外務省「海外安全ホームページ」:危険レベルや最新の注意喚起が掲載
- たびレジ(外務省の渡航者向け情報サービス):登録すると現地の緊急情報がリアルタイムで届く
- 現地在住の日本人のSNS・ブログ・YouTubeなど:体験ベースのリアルな声が参考になる
- リスクメイト:海外の危険情報を共有するマップサービス
また、渡航日直前に現地でデモ予定があるかどうかを、現地ホテルや大使館を通じて確認しておくのもおすすめです。
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ホテル・交通・通信環境の信頼性を確保しておく
ホテルは必ず外国人旅行者の受け入れ実績がある施設を選びましょう。
Googleマップや旅行サイトのレビュー、または現地在住者のSNSを参考に、
「女性の一人旅でも安全か?」「セキュリティスタッフが常駐しているか?」「深夜の出入りがスムーズか?」といった点を確認するのがコツです。
地方部ではホテルが政府に宿泊者を報告する義務を持っているため、パスポートやビザのコピー提出を求められることもあります。
コピーを複数用意しておくとスムーズです。
- 日中はリキシャやCNG(三輪タクシー)が便利ですが、夜間は配車アプリやホテル手配の車を使うのが安全です
- Grab(東南アジアの配車アプリ)が使える地域では利用を検討
- 女性は相乗り・シェアタイプの乗り物は避けた方が無難です
現地SIMカードは空港で購入可能ですが、通信トラブルやネット制限の影響を受けることもあります。
予備として、グローバルWi-FiルーターやeSIMの利用を検討しておくと安心です。
また、通信環境が不安定になる可能性を想定し、オフラインで使える地図アプリや翻訳アプリを事前にダウンロードしておくと便利です。
まとめ|バングラデシュ旅行は危険ではないが、国境付近は避けるべき
バングラデシュは、他のアジア諸国では味わえないディープな文化体験と、素朴で優しい人々とのふれあいが魅力の国です。
しかし同時に、政治情勢の不安定さ、宗教的価値観の違い、軽犯罪のリスクなど、旅行者にとって見落とせない課題も多く存在します。
特に女性旅行者の場合、服装や行動への文化的な配慮が不可欠であり、現地での振る舞いひとつでトラブルのリスクが大きく変わります。
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