古い歴史と芸術、洗練された都市文化で世界中の旅行者を惹きつけるヨーロッパ。その一方で、観光人気と比例して治安が悪化している地域も少なくありません。
現在では、都市によっては旅行者がスリ・詐欺・強盗などの被害に巻き込まれるリスクが高まっているのです。
この章では、旅行者が特に注意すべきヨーロッパの国・都市をランキング形式で5つご紹介し、各地で実際に起きているトラブルや、訪問時の注意点を具体的に解説します。
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ヨーロッパ治安悪い国ランキング TOP5

ここでは、ヨーロッパの中でもとくに治安面で注意すべき国を、実際の旅行トラブル報告や現地の犯罪発生率などをもとに厳選し、TOP5としてご紹介します。
各国の代表的な都市と、旅行者が巻き込まれやすいリスクもあわせてお伝えします。
第1位:フランス(特にパリ)

「芸術の都」として世界中から人が集まるパリ。
しかし、観光都市であるがゆえにスリ・詐欺の集中スポットとなっており、特に旅行者が狙われやすい都市です。
- Gare du Nord(北駅)周辺や18区バルベス地区での集団スリ・置き引きが頻発
- エッフェル塔、ルーヴル美術館周辺での偽署名詐欺や「寄付金詐欺」が横行
- 夜間のシャトレ=レ・アル駅やピガール地区では薬物絡みの事件や暴行も多発
特に夜のメトロや駅周辺では、1人歩きは絶対に避けるべきエリアが多く存在します。


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第2位:イタリア(特にローマ・ナポリ)

芸術と歴史が交差するイタリアは、スリ・置き引き・ひったくりの「技術」が非常に高いことで有名です。
- ローマ・テルミニ駅やバチカン市国周辺では子どもを使った集団スリが常態化
- ナポリ中央駅~スペイン地区周辺ではバイクによるひったくりが日中でも発生
- ナポリ旧市街(Spaccanapoli周辺)では強盗や詐欺の発生率が高く、観光客が標的にされやすい
ローマでもナポリでも、「話しかけてくる人=危険」と考えておくくらいがちょうどいい場面もあります。

第3位:スウェーデン(特にマルメ)

北欧のイメージからは想像しにくいですが、スウェーデン南部に位置するマルメ市は国内で最も治安が悪い都市のひとつとして知られています。
- Rosengård(ローゼンゴード)地区では移民系ギャングの抗争が多発し、銃撃事件も発生
- 中央駅周辺では夜間に暴行・恐喝・盗難が発生しており、観光客の単独行動は危険
- Fosie地区やSeved地区では薬物・武器関連の犯罪が高頻度で報告されている
マルメに滞在する場合は、中心部から東側のエリアには近づかないのが基本ルールです。

第4位:ベルギー(ブリュッセル中心部)

EUの中心都市・ブリュッセル。政治的・国際的な施設が集まる一方で、観光エリアでは犯罪が集中しています。
- ブリュッセル中央駅~グランプラス周辺ではスリ・置き引き・観光詐欺が多発
- アンダーレフト地区(Anderlecht)やミディ駅周辺では暴行・車上荒らし・麻薬犯罪が頻繁に起きている
- サン=ジョス地区(Saint-Josse-ten-Noode)はベルギーで最も人口密度が高く、社会問題の多い地域として要注意
観光客はグランプラスに集中するため、犯罪グループにとっては絶好のターゲットが集まる「狩り場」となっています。

第5位:ギリシャ(特にアテネ旧市街)

経済危機以降、ギリシャの一部都市では治安の悪化が進んでいます。
アテネはその代表例であり、観光客が多く訪れる旧市街でさえも注意が必要です。
- オモニア広場(Omonia Square)周辺は昼夜問わずドラッグやスリが横行
- モナスティラキ駅~プシリ地区(Psiri)は夜になると無人化し、強盗・暴行リスクが高まる
- ヴィクトリア駅(Victoria Station)周辺は移民キャンプが密集しており、トラブルが頻発
一歩間違えば、観光地から数百メートル離れただけで、まったく雰囲気の異なる「危険エリア」に踏み込んでしまう可能性があります。


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ヨーロッパ諸国の治安が悪いとされる3つの理由

ヨーロッパにおける治安悪化は、単なる犯罪率の上昇だけでは語れません。
そこには、社会的な不均衡や都市部の構造、そして観光地化によって生まれた新たな問題が背景にあります。
この章では、ヨーロッパの中でも特に治安が悪化しやすい都市や地域に共通する、いくつかの根本的な要因を掘り下げて解説していきます。
移民問題や貧困格差が都市部での治安悪化に直結している
ヨーロッパでは長年にわたり、中東・アフリカからの移民・難民の受け入れが進められてきました。
しかし、受け入れ先の国や都市によっては、社会インフラや就労環境が整わず、若年層の失業や教育格差、地域対立が深刻化している現実があります。
こうした背景から、特定の地区(パリ18区のバルベス、マルメのローゼンゴード、ブリュッセルのアンダーレフトなど)では、若者を中心とした暴力事件・強盗・抗争が頻発しています。
このような「社会的に取り残されたエリア」が都市の中に点在しており、そこに足を踏み入れることで旅行者が巻き込まれるリスクが高まっているのです。
観光地としての人気がスリ・詐欺の温床になっている
ヨーロッパは世界有数の観光地であり、パリ・ローマ・アテネ・バルセロナなどには毎年数千万規模の観光客が集まります。
しかし、これほどの人の流れがあるということは、「観光客=お金を持っている、無防備」というイメージが犯罪者側にも定着しているということです。とくに多いのが、
- 観光地周辺での偽募金・署名詐欺
- 子どもを使った集団スリ
- 電車内やカフェでの置き引き
- 「ポリス」と偽ってくる財布チェック詐欺
といった、一見フレンドリーに近づいてくる「プロの犯罪者」たちの存在です。
旅行者にとって、「気を許してしまった瞬間にスられる」ような場面が多数あり、観光の華やかさの裏に犯罪が日常化している構造が見え隠れします。

警察力の届かない「グレーエリア」が存在する
ヨーロッパの都市は美しく整備されていますが、そのすべてに警察の目が行き届いているわけではありません。
実際、パリのピガールやマルメの郊外、アテネのオモニア広場周辺などでは、夜間は警察が巡回しない・遅れて対応する・通報しても対処されないといった声も多く聞かれます。
警察署があっても、
盗難届の受理に消極的
言語が通じない
「それくらいは日常茶飯事」として処理される
というように、旅行者にとっては「頼れる存在」とは言い難い場面もあります。
また、ギャングやドラッグ売買が絡むエリアでは、現地の人すら近づかない「無法地帯化したゾーン」が形成されていることもあるのです。
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ヨーロッパの夜は危ない?危険エリアとよくある犯罪を紹介
ヨーロッパ旅行で意外と見落とされがちなのが、「夜間のリスク」への意識です。
昼間は観光客でにぎわっていた場所でも、日が暮れると様相がガラリと変わり、犯罪やトラブルが急増するということが少なくありません。
とくに警察の目が届きにくくなる夜の時間帯は、軽犯罪だけでなく暴力事件や性的被害が起きやすい傾向があります。
実際に旅行者のあいだで被害報告が多いのは、やはり大都市の繁華街や駅周辺。
以下では、特に夜に気をつけるべきエリアとその理由を、都市ごとに詳しく解説していきます。
夜のパリ北駅周辺やナポリ旧市街は特に危険
まず挙げられるのが、パリの「北駅(Gare du Nord)」とその周辺地域です。このエリアはユーロスターや長距離列車が発着する主要な交通拠点である一方、日没以降になると空気が一変します。
駅構内では警察の姿が減り、外には路上生活者や移民グループが集まりやすく、旅行者が孤立することもあります。また、スリだけでなく、薬物の売買や恐喝、暴力沙汰も報告されており、女性一人での通行は特にリスクが高いとされています。
同様に、イタリアのナポリ旧市街(スパッカナポリ周辺)も要注意エリアです。
昼間のにぎやかさとは裏腹に、夜になると観光客の姿が一気に減り、不良グループやバイクによるひったくり犯が活動を活発化させます。通りは入り組んでいて人通りも途絶えやすく、地元の人ですら避ける裏通りもあるほどです。
バルセロナのビーチ沿いは夜になると強盗の温床に
バルセロナは、昼間は海沿いの風景が美しく、レストランやカフェでのんびりできる人気スポットですが、夜になるとビーチエリア周辺で強盗やスリが多発する「裏の顔」を持っています。
特にバルセロネータ地区や、ビーチから徒歩圏内の路地裏では、旅行者がスマホを出していたり、酒に酔っていたりするところを狙って、複数人で囲い込んで荷物を奪うグループが出没します。昼間の穏やかさとのギャップが大きいため、旅行者が油断してしまい、ターゲットにされやすいのです。
さらに、警察に通報しても「夜のビーチではよくあること」と対応が遅くなるケースもあり、実質的な防御は自己責任となってしまっているのが現実です。
東欧の一部都市では夜間はほぼ無人エリアが多い
ポーランドやハンガリー、チェコといった東欧諸国も近年人気が高まっていますが、都市によっては「人がいないこと」が逆にリスクになるという状況もあります。
例えばブダペストやクラコフでは、観光地以外のエリアは夜になると一気に人通りがなくなり、人気のない駅前や広場に一人で立ち止まっているだけで、不審者に声をかけられたり、後をつけられたりするケースも報告されています。
こうした場所では、犯罪組織というよりも、個人や小規模なグループによる犯行が多く、警戒がゆるむと一瞬で巻き込まれてしまう危険があります。
街灯の数も少なく、タクシーや公共交通機関の運行も限られるため、宿泊先への移動手段も含めた事前の準備が不可欠です。
治安情報だけではわからないヨーロッパ各国の文化と特徴
ヨーロッパを旅するうえで、「治安が良いか悪いか」という数値や評価はもちろん重要ですが、それ以上に現地でトラブルに遭わないために大切なのが、「文化的な違い」への理解と対応力です。単純なマナー違反では済まない誤解が、時に口論やトラブルのきっかけになることすらあります。
各国の国民性や価値観は、表情、会話の間合い、距離感、態度などに表れており、一見すると「冷たい」「フレンドリーすぎる」「強引」と受け取られてしまうこともあるのです。
フランスは「自由」を尊重する文化が行動の差を生む
フランスでは、個人の自由や自律性を非常に重んじる文化があります。そのため、旅行者に対しても「自分の判断で行動すること」が前提とされ、困っている様子を見せても、すぐに手を差し伸べてくれるとは限りません。
特にパリでは、挨拶やマナーに厳しく、店に入るときは「ボンジュール」と必ず声をかけるのが基本。
これを無視すると、店員が露骨に冷たくなったり、サービスを拒否されたりすることもあります。
また、公共の場で静かに過ごすことが重視されているため、大声で会話をしたり、電話をしたりすることも控えめにするのがマナーです。逆に、たとえ困っていても、自分から声をかけないと誰も気づいてくれないこともあるので、「黙っていても察してくれる」という日本的な期待は通用しない国でもあります。
イタリアでは陽気さと裏腹に「すりの巧妙さ」もある
イタリアはとにかく人が陽気で話し好き。知らない人同士でも笑顔で話しかけてくるのが日常です。ローマやナポリの街角では、レストランの呼び込みや道端の売り子など、積極的なコミュニケーションが当たり前のように繰り広げられています。
その一方で、こうしたフレンドリーさが「隠れ蓑」になるケースもあるため注意が必要です。「笑顔で話しかけてきた若者が実はスリグループの一員だった」というような事例は、観光都市で日常的に起きています。
また、イタリア人はジェスチャーを多用し、物理的な距離も近いため、日本人からすると「詰め寄られている」と感じてしまう場面もあるかもしれません。しかしこれは攻撃的な意図ではなく、文化的に「情熱的に話す」スタイルが基本であるだけということを理解しておくと、余計な不安を感じずに済みます。
スカンジナビア諸国は静かで整然、だが夜は無人で不安感が出ることも
北欧、特にスウェーデンやフィンランドなどのスカンジナビア諸国は、社会インフラが整い、ルールを守る文化が根付いています。街中も非常に清潔で、時間や公共マナーを大切にする人が多いため、初めて訪れる人にとっては「とても治安が良い」と感じるかもしれません。
しかしその一方で、こうした国々では知らない人に声をかける習慣があまりなく、旅行者が孤立感を感じることも少なくありません。また、冬季には日照時間が極端に短くなるため、夕方以降になると街に人がいなくなり、たとえ安全な地域でも「誰もいない」「声をかけられない」という不安感が増します。
とくにマルメなど南部の都市では、表面的には整然とした街並みの中で、移民コミュニティとの摩擦や犯罪が表面化しており、「整った都市=安全」と安易に考えてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクもあります。
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ヨーロッパには治安のいい国も多い!BEST3を紹介
ヨーロッパ旅行というと、「スリや詐欺が怖い」「大都市は危ない」というイメージが先行しがちですが、実際には安全性の高い国もたくさん存在します。特に北欧・西欧・中欧には、警察体制がしっかりしており、観光客にとってもリラックスして過ごせる場所が多くあります。
この章では、その中でも「女性の一人旅でも安心できる」「家族連れが滞在しやすい」と評判の国を3つ厳選し、それぞれの魅力と注意点を紹介していきます。
アイスランド:犯罪率が極めて低く女性の一人旅にも向いている

アイスランドは、ヨーロッパだけでなく世界全体で見ても屈指の治安の良さを誇る国です。暴力犯罪の発生率は非常に低く、強盗や性的被害もほとんど報告されていません。小さな首都レイキャビクでは、日中はもちろん夜間でも一人で街を歩けるほど安全で、カフェやバーも旅行者に対して非常にフレンドリーです。
また、地元の人々は外国人に対して親切で、困っている人を見かけると自然に声をかけてくれる温かさもあります。
バスや空港、観光施設の整備もしっかりしていて、英語も広く通じるため、言葉の心配も少ないのが特徴です。
ただし、自然の中に行く際には、天候の急変や地形の厳しさに注意が必要です。
都市部は治安がよくても、大自然の中では防寒や移動手段など、自己管理の意識が大切になります。
ポルトガル:治安が良く、都市間の移動も比較的安全

スペインと並んで人気のある南欧の国、ポルトガルもまた治安が良好な国のひとつです。
首都リスボンや第2の都市ポルト、さらには南部のアルガルヴェ地方に至るまで、犯罪率は他のヨーロッパ諸国と比べてかなり低い水準に保たれています。
旅行者が巻き込まれるような暴力事件はまれで、日常的に気をつけるべきなのは、駅や観光地での軽度なスリ程度です。ただし、スリといっても強引さはなく、カフェにバッグを置きっぱなしにするなど「油断した時」に狙われやすいというレベルです。
また、ポルトガル人はおおらかで親切な国民性を持っており、英語が通じる場面も多いため、初めてヨーロッパを訪れる人でも安心して過ごすことができます。交通インフラも整っており、電車やバスを使った都市間の移動も安全かつ快適です。
スロベニア/フィンランド:高評価の治安国として知られる

中欧のスロベニアと北欧のフィンランドは、どちらも「犯罪が少なく、規律があり、観光客が過ごしやすい国」としてヨーロッパ内でも高い評価を受けています。
スロベニアは旧ユーゴスラビアの一部だった国ですが、現在はEUとシェンゲン協定に加盟し、政治的にも安定しています。首都リュブリャナは落ち着いた雰囲気の小都市で、歩きやすく、夜間の一人歩きも不安を感じない程度の安全性があります。
一方、フィンランドはスウェーデンやノルウェーに比べてもさらに静かな国民性が特徴です。首都ヘルシンキも騒がしさとは無縁で、犯罪が少なく、警察もきちんと機能しています。公共交通機関は正確かつ清潔で、観光案内も丁寧に整っており、初めての訪問でもストレスを感じにくい環境が整っています。
ただしどちらの国も、観光地の周辺では油断せず、財布やスマートフォンの管理には最低限注意を払いましょう。
安全性が高いとはいえ、「完全に無防備でよい」という意味ではないことを忘れてはいけません。
まとめ|ヨーロッパ旅行では「数字」より「現場感覚」が重要
ヨーロッパは魅力にあふれる旅行先ですが、治安面では都市や時間帯によって大きな差があります。パリやナポリなどの観光都市ではスリや詐欺が多発し、夜間は危険度が増す場所も少なくありません。一方で、アイスランドやポルトガル、スロベニアといった治安の良い国も存在し、安全に旅を楽しめるエリアも確実にあります。
大切なのは、治安データやランキングに頼りすぎず、現地の空気や文化、そして時間帯に応じた行動を意識すること。
警戒しすぎて楽しめない旅ではなく、リスクを理解したうえで、安心して充実したヨーロッパ旅行を楽しんでください。
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