イラン旅行が危険な5つ理由|現在の治安情報と女性旅行者のための注意点

イラン旅行が危険な理由

イラン旅行って、危ないの?

そんな疑問を抱いたことがある人は、決して少なくありません。ニュースでは核問題や国際的な対立、そして宗教や女性の権利に関する厳しい報道が目立ちます。そのため、イランに行く=命の危険があるというイメージが根付いてしまっているのも無理はないかもしれません。

ですが、実際のイラン旅行者の体験談を見ると、「人がとても親切だった」「思っていたよりずっと安全だった」といったポジティブな声も多く見受けられます。もちろん、全てが安全とは言えませんし、特に女性旅行者や一部地域では注意が必要です。

この記事では、2025年最新の治安情報をもとに、「イラン旅行は本当に危険なのか?」という問いに正面から向き合いながら、現地のリアルな情報を詳しく解説していきます。

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目次

イラン旅行が危険と言われる5つの理由

イラン旅行が危険な理由

イランという国に対して、「危険そう」「自由がなさそう」「行くのが怖い」と感じてしまう背景には、実際に理由があります。

ただし、それらを正しく理解し、リスクと向き合う姿勢を持つことが、安全な旅への第一歩となります。

今も続く政治的な緊張が影響している

イランの風景

イランは、アメリカやイスラエルなどとの外交的な緊張状態が続いている国のひとつです。特に核開発を巡る対立や、経済制裁による影響は、国の情勢を不安定にしがちです。

こうした政治的緊張は、観光客の安全に直接的な影響を及ぼすことは少ないとはいえ、急なデモや抗議活動に巻き込まれるリスクを考慮しておく必要があります。外国人が標的になるケースは稀ですが、万が一に備えて最新のニュースには常に目を光らせておくのがベストです。

宗教や法律による規制が観光客にも及ぶ

イランはイスラム法(シャリーア)に基づいた社会制度を採用しており、観光客であってもこれを無視することはできません。たとえば、アルコールの所持・飲酒は原則禁止。男女の公的な接触にも制限があります。

さらに、公共の場での行動にも常に“モラル”が求められるため、日本とは価値観が大きく異なることによるストレスを感じる人も少なくありません。「知らなかった」では済まされない場面もあるため、事前の知識がとても大切です。

一部地域では治安が極めて不安定

イランの風景

イラン全土が危険というわけではありませんが、国境付近や少数民族が多く住む地域では、治安が著しく悪化しているエリアも存在します。特に、パキスタン・アフガニスタン国境付近のスィースターン・バルーチェスターン州や、クルド人自治区などは、武装集団の活動や密輸、軍との衝突が頻発しています。

これらの地域は外務省からも渡航中止や退避勧告が出されており、たとえ冒険心があっても決して足を踏み入れるべきではありません。

モラル警察の存在で自由が制限されやすい

イランには、“ヒジャブの着用”や“男女の接し方”などの規範を取り締まる「モラル警察」と呼ばれる組織が存在します。違反行為を見つけると、指導や罰則が科される場合があり、外国人だからといって見逃されるとは限りません。

特に2022年に起きた女性の服装違反による拘束事件が国際的に大きな波紋を呼び、それ以来、モラル警察の行動には世界中の注目が集まっています。現在では多少規制が緩和された地域もあるものの、場所によっては厳しくチェックされることもあるため、油断は禁物です。

他国渡航時にイラン滞在歴が影響する可能性がある

イランに入国した履歴があると、他国のビザ取得時に不利になる可能性もあります。特にアメリカへの渡航を希望する場合、ESTA(電子渡航認証)による入国が不可となり、ビザ申請が必要になることがあります。

また、一部の中東諸国やイスラエルなどは、イランとの関係が悪化しているため、イラン滞在歴がパスポートに残っていると入国を拒否されるリスクも否定できません。旅行の順番やビザの取得状況を、事前に計画的に考える必要があります。

外務省データから最新の治安情報を分析

イランの外務省

イラン旅行を検討しているなら、まずチェックすべきなのが日本の外務省が発信している「海外安全情報」です。これは現地の情勢をもとに、4段階の危険度で各地域を評価し、日本人に向けた渡航の可否を警告する非常に信頼性の高い情報源です。

2025年5月現在、イランに関しても一部地域で危険レベル3〜4(渡航中止・退避勧告)が出されています。その一方で、観光都市の多くは比較的安全とされており、その差を正確に理解することが大切です。

【危険レベル3・4】渡航中止勧告の地域あり

イラン国内には、観光客が行くことを絶対に避けるべき地域が複数あります。特に危険度が高いとされているのは以下のエリアです。

  • スィースターン・バルーチェスターン州:パキスタン国境に面し、武装勢力や密輸組織の活動が頻発。
  • ケルマーンシャー州およびクルディスタン州の一部:イラク国境に近く、民族紛争が断続的に発生。
  • イラク・アフガニスタン国境周辺:越境したテロリストや武装集団の影響が残っており、治安部隊との衝突もある。

これらの地域では、外務省から「レベル3:渡航中止勧告」あるいは「レベル4:退避勧告」が出されており、たとえ好奇心や冒険心があっても、旅行者が訪れてはいけない場所です。

また、これらの地域では治安当局の監視も強化されており、外国人が入るだけでスパイと疑われるリスクもあるため、絶対に立ち入らないようにしましょう。

観光客が訪れやすい都市の安全性は比較的高い

イランの風景

一方で、一般的な観光ルートに含まれる主要都市――たとえばテヘラン(首都)、イスファハーン、シラーズ、ヤズドなどの中核都市では、比較的治安は安定しています。これらの都市では、

  • 観光インフラが整っている
  • 宿泊施設が外国人慣れしている
  • 治安当局の管理が行き届いている

といった理由から、外国人旅行者が安心して過ごしやすい環境が整っています。

ただし、「比較的安全」であっても、日本とは違い、治安の急変や突発的な抗議活動が起こる可能性はゼロではありません。特に金曜の礼拝後や政治的な記念日などは、群衆の集まるエリアを避ける判断力が求められます。

また、地元の人々はとても親切でホスピタリティにあふれていますが、必ずしも全員が旅行者を歓迎しているわけではありません。政府や宗教に批判的な話題は避ける、現地のルールに従う、といった慎重な姿勢を忘れずに行動しましょう。

女性旅行者が特に注意すべきポイント

イランの風景

イラン旅行は女性にとって、他の国とは違う種類の「準備」が求められる国です。これは、単なる治安の話だけでなく、文化や法律、社会の空気そのものが女性に特有の影響を与えるからです。

イラン社会はイスラム法(シャリーア)に基づいた価値観を重んじており、女性のふるまいや服装に関して非常に厳しいルールが存在します。観光客であっても例外ではなく、現地の女性と同じように、そのルールに従うことが求められます。

服装のルールは厳守しないとトラブルになる

最も分かりやすいのが「服装」に関するルールです。イランでは、公共の場ではヒジャブ(スカーフ)で髪を覆うことが法律で義務付けられています。また、体のラインを強調する服や、腕・脚を露出する服装もNGです。たとえば、

  • 肩が見えるノースリーブ
  • 膝丈のスカートや短パン
  • タイトなトップスやジーンズ

などは、モラル警察や周囲の目に厳しくチェックされることがあります。最悪の場合、注意だけでなく拘束や罰金の対象になるケースも報告されています。

旅行者の中には、「観光客だし大丈夫でしょ」と油断してしまう人もいますが、これは非常に危険な考えです。法律を知らなかったでは済まされないのがイランなのです。

安全に旅行を楽しむためには、以下のような服装を心がけましょう。

  • 髪はスカーフ(ヒジャブ)で隠す
  • 腕・脚を覆う長袖シャツとパンツまたはマキシスカート
  • ゆったりとした体型カバーの上着(マントやチュニックなど)

また、服の色やスタイルにも配慮し、派手すぎない落ち着いた色味が無難です。

一人で行動する女性には不快な視線もある

イランでは、外国人女性に対する“興味本位の視線”を感じることがあります。特に首都以外の地方都市や田舎町では、外国人の女性が一人で行動すること自体が珍しいため、注目されやすくなります。

実際にイランを旅行した女性の体験談には、「ずっと見られていた」「無言でついてこられた」「写真を撮られそうになった」といったエピソードもあります。これは犯罪目的ではない場合も多いのですが、不快に感じる状況には違いありません。防犯対策としては、

  • できるだけ日中に行動する
  • 人通りの多い場所を選ぶ
  • 現地の女性と一緒に行動するツアーを利用する
  • 男性の同行者がいればより安心

といった配慮が役立ちます。

また、不快な状況に遭遇した場合は、毅然とした態度でその場を離れることが重要です。にこやかに応じてしまうと、「好意がある」と誤解されるリスクもあるため、対応には慎重さが求められます。

「バレる?!」他国への渡航で問題になることがあるイラン滞在歴

イランの風景

イランを旅行したあと、「そのことが他の国への入国審査で不利になることがある」と聞いたことはありませんか?

実はそれ、本当です。特にアメリカ合衆国をはじめとする一部の国では、イラン渡航歴のある人に対して特別な手続きや制限が課されることがあります。

アメリカではビザ申請が必要になるケースもある

2011年以降、アメリカ政府は「テロ対策」の一環として、イランを含む特定の国への渡航歴がある人に対して、ESTA(電子渡航認証システム)の利用を制限する政策を導入しました。

つまり、ふつうならビザなしで入れるアメリカでも、過去にイランに行ったことがあると、

  • ESTAによる入国が自動的に拒否される
  • 代わりに通常のビザ(Bビザ)を申請する必要がある
  • 面接・書類審査・審査期間などが発生し、手間も時間もかかる

といった不便が生じるのです。

しかも、このルールは観光目的の短期旅行であっても適用対象。たった1日イランに滞在しただけでも、対象になる可能性があります。

多くの旅行者が、「まさかこんなところに影響が出るなんて…」と後から気づいて後悔しています。だからこそ、イラン旅行の前にアメリカを訪れておく、または今後アメリカに行く予定があるならイラン旅行を慎重に考えるという計画性がとても重要です。

ちなみに、この制限はイランのスタンプがパスポートに押されているかどうかではなく、入国履歴(航空会社データや出入国記録)そのものをチェックされていると考えられています。つまり、イランのスタンプがなくても、情報は「バレる」と思っておいたほうが無難です。

また、イスラエルやサウジアラビアなどイランと対立関係にある国では、イラン渡航歴が問題視されることもあります。イスラエルに関しては、イランと「敵対関係」にあるため、渡航履歴が明確に確認された場合、入国拒否や長時間の取り調べが行われるケースも報告されています。

渡航歴をクリアする方法はあるの?

一部の旅行者は、渡航履歴を消すために「2冊目のパスポート(複数旅券)」を利用するという方法を取っています。これは本来、ビザの取得トラブルや緊急渡航のための制度ですが、国によっては正当な理由があれば発行される場合もあります。

ただし、これはあくまで「イレギュラーな手段」であり、必ずしも誰にでも許可されるわけではありません。基本的にはイランに渡航するということは、今後の渡航先にも一定の影響を与える可能性があるという前提で旅を計画することが大切です。

まとめ|イラン旅行は危険地域には絶対に行かないように!

イランは、世界中でも独特な文化と歴史、そして人々の温かさに触れられる魅力的な国です。一方で、「行ってみたい」と思う人が同時に不安を感じる国のひとつでもあるのが現実です。

実際に、政治的緊張や宗教的ルール、女性に対する規制など、日本とは大きく異なる価値観が存在し、それが旅行者にとって“違和感”や“怖さ”につながるケースもあります。ですが、それを正しく理解し、必要な準備と知識を持って行動すれば、安全に旅を楽しむことも十分に可能です。

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この記事を書いた人

海外旅行中に起こりうる危険を未然に防ぐために、リアルな体験情報を発信する『リスクメイトブログ』を運営しています。私たちは、海外の危険情報を共有できるマップサービス「リスクメイト」を提供しており、危険度を色分けすることで、一目でリスクを把握できる仕組みを構築しました。さらに、実際にトラブルに遭遇した方々の投稿をもとに、具体的な対策や回避方法をお届けすることで、安全な旅をサポートします。「知らなかった」で済まされない海外のリスクを、できる限りわかりやすく伝え、旅行者が安心して旅を楽しめるよう、これからも情報を発信していきます。

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