「中東=危険」というイメージは根強いですが、実際には国ごとに状況は大きく異なります。
ドバイのような超近代都市もあれば、いまだ紛争が続く地域もあり、同じ中東でも安全性には天と地ほどの差が存在します。
この記事では、最新のデータと情報に基づき、中東諸国の治安を徹底比較!
観光客にとって本当に安全な国と、絶対に注意すべき危険国をランキング形式で詳しく解説します。
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【安全】治安が良い中東の国ランキングTOP5
中東にも、「ここなら比較的安心して旅行できる」という国は存在します。
この章では、犯罪発生率、テロ事件発生率、観光インフラの整備状況、政治・経済の安定性、女性旅行者の安全度など、5つの具体的な指標を基に、安全な国TOP5を徹底比較して紹介します!
第1位:アラブ首長国連邦(ドバイ含む)

アラブ首長国連邦(UAE)は、中東随一の安全な国として知られています。
特にドバイとアブダビでは、世界基準で見ても非常に治安が良好。街中には監視カメラが網の目のように配置され、重犯罪の発生率は極めて低い水準を維持しています。
観光客が巻き込まれる犯罪は稀であり、夜間でも女性一人で歩けるほどの安心感があります。
ただし、イスラム文化を尊重するマナーは厳守が必要で、公共の場での過剰なスキンシップや露出の多い服装はNGです。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率 | 1000人あたり約0.3件(主に軽犯罪のみ) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 0件(徹底した治安維持政策) |
観光インフラ整備状況 | 世界トップクラス(メトロ・タクシー・ホテルの安全基準が高い) |
政治・経済の安定性 | 非常に高い(オイルマネーによる国家財政の強さ、王族統治による安定) |
女性旅行者の安全性 | 非常に高い(ただし公共の場での服装マナー・振る舞いに注意) |
治安維持に莫大な国家予算を投入しており、観光客・外国人居住者も安心して過ごせる環境が整っています。
第2位:カタール

カタールは、石油・天然ガス産業の発展により、豊かな経済力を背景に非常に治安の良い国となっています。
首都ドーハは世界的なスポーツイベントの開催地にも選ばれるほどで、治安対策にも万全の態勢が敷かれています。
日常的なスリや置き引きすらほとんど発生しておらず、外国人旅行者にとっても快適な滞在が可能です。
一方で、公共の場での恋愛行為(キスや手をつなぐなど)は厳しく禁じられているため、文化への配慮は絶対に必要です。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率 | 1000人あたり約0.4件(極めて低い水準) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 0件(ただし周辺情勢の影響には注意) |
観光インフラ整備状況 | 高水準(新空港・メトロ網の整備が完了) |
政治・経済の安定性 | 高い(王族統治で社会不安要素が少ない) |
女性旅行者の安全性 | 高い(ドーハ市内中心部では単独行動も可能だが、肌の露出を避けるべき) |
外国人比率が非常に高く、外国人向けの施設やサービスも豊富。非常に生活しやすい環境が整っています。
第3位:オマーン

オマーンは「中東の隠れた安全国」とも呼ばれるほど、穏やかで治安が安定した国です。
首都マスカットを中心に、街全体がクリーンで整備されており、犯罪発生率は中東でもトップクラスに低いレベルを保っています。
現地の人々はとても親切でホスピタリティ精神が強く、外国人観光客を歓迎する文化が根付いています。
宗教的にはイスラム教が主流ですが、比較的寛容な社会風土があり、女性旅行者に対しても過剰な視線やハラスメントが少ないのが特徴です。
夜間の街歩きも比較的安心してできる数少ない中東の国の一つと言えるでしょう。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率 | 1000人あたり約0.5件(主に軽微な窃盗のみ) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 0件(近隣諸国の不安定化の影響も最小限) |
観光インフラ整備状況 | 良好(ホテル・交通機関ともに安全基準を満たしている) |
政治・経済の安定性 | 安定(王政により社会秩序が保たれ、隣国ほどの混乱がない) |
女性旅行者の安全性 | 高い(服装のマナーを守れば単独行動も問題なし。ただし敬意を持った行動が求められる) |
オマーンは観光地としても評価が上がっており、インド洋に面したビーチリゾートや、アラビア砂漠の壮大な自然を安心して楽しめる国。ただし、イスラム文化への配慮は必須で、特にラマダン期間中の公共マナー(断食中に人前で食事をしないなど)には十分注意しましょう。
第4位:イスラエル(※特定地域のみ)

イスラエルは、地域によるリスク差が極端な国です。
テルアビブやエルサレム中心部などは治安が非常に良く、犯罪発生率も低め。しかし一方で、ガザ地区や西岸地区など一部エリアは今でも非常に危険です。
そのため、「イスラエル=安全」ではなく、「場所を正確に選べば安全」と理解することが大切です。
観光客向けのエリア(テルアビブ、エルサレム、死海沿岸など)は厳重な警備体制が敷かれており、テロ対策も万全。街中の警察官や軍隊の存在もあり、犯罪に巻き込まれるリスクは低いです。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率 | テルアビブ市内で1000人あたり約1.1件(軽犯罪中心) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 都市部ではほぼゼロ(ただし国境沿いや宗教施設周辺は不定期に発生) |
観光インフラ整備状況 | 非常に良好(観光客向けの交通網・治安維持が強化されている) |
政治・経済の安定性 | 部分的に安定(内政的には課題あり、周辺国との緊張も残る) |
女性旅行者の安全性 | 良好(テルアビブではカジュアルな服装も許容されるが、宗教施設では厳格なドレスコードあり) |
都市部観光に絞る限りは世界トップクラスに安全な部類。ただし、国境エリアや紛争地帯には絶対に近づかないこと。また、突然の治安悪化(デモやミサイル攻撃)に備え、滞在中は常に最新の現地情報を確認することが重要です。
第5位:バーレーン

バーレーンは、ペルシャ湾に浮かぶ小さな島国で、中東の中でも比較的穏やかで治安が良い国として知られています。
首都マナーマを中心に近代的な都市開発が進み、観光客も年々増加中。外国人労働者の比率が高く、比較的リベラルな空気感も特徴の一つです。
犯罪自体は少なく、テロリスクも周辺国と比べて低めですが、過去には一部政治的な抗議活動が発生したこともあるため、政治集会やデモには近づかない慎重な姿勢が求められます。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率 | 1000人あたり約0.6件(軽微な窃盗や交通トラブル中心) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 小規模な騒乱・抗議活動が数件(一般観光客には直接的な被害なし) |
観光インフラ整備状況 | 良好(空港・ホテル・公共交通機関ともに安全性高い) |
政治・経済の安定性 | 比較的安定(近年は経済多角化政策が進み、石油依存からの脱却を図っている) |
女性旅行者の安全性 | 高い(リゾートエリアでは比較的自由な服装も可能、ただし伝統文化への敬意は必要) |
バーレーンは中東圏では「ビジネスと観光が両立できる安全国」として認識されています。
ただし、イスラム文化への理解は必須であり、特にラマダン期間中の公共マナー(飲食を人前でしないなど)を忘れないようにしましょう。
【要注意】治安が悪い中東の国ランキングワースト5
中東には治安が安定している国もありますが、逆に「絶対に注意すべき危険地帯」も少なくありません。
この章では、最新のデータに基づき、渡航には十分な警戒が必要な中東の国ワースト5を紹介していきます。
各国のテロ発生件数、内戦状況、政治リスク、犯罪率を具体的に比較してまとめます!
第1位:シリア
シリアは長期にわたる内戦と、複数の勢力による支配が続いており、現在も世界最悪レベルの治安状態にあります。
ISISの影響が弱まったとはいえ、国全体に爆発的な武力衝突の危険が残っており、国連も人道危機レベルで警戒を続けています。
観光客どころか、現地住民すら日常的な生活が困難な状況であり、旅行やビジネス目的での渡航は絶対に推奨できません。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率(推定) | 正確な統計なし(治安崩壊状態、暴力犯罪が極めて多い) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 数百件以上(武力衝突、爆破テロが頻発) |
観光インフラ整備状況 | 事実上崩壊(空港・交通網・ホテル機能不全) |
政治・経済の安定性 | 崩壊状態(国家機能が正常に動いていない) |
女性旅行者の安全性 | 非常に低い(拉致・暴力被害のリスクが極めて高い) |
2025年現在も、外務省や国際機関は「全土への渡航中止・即時退避」を強く勧告しています。渡航は絶対に避けましょう。
第2位:イエメン
イエメンもまた、長引く内戦により壊滅的な治安崩壊が続いています。
フーシ派と政府軍、各種民兵組織が入り乱れており、日常的に空爆、銃撃、誘拐事件が発生。食料危機や医療崩壊も深刻で、人道支援すら困難な状況です。
旅行者にとって、現在のイエメンは「自己防衛が不可能なレベル」と言わざるを得ません。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率(推定) | 正確な統計なし(犯罪横行、無政府状態に近い) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 数百件以上(アルカイダ系組織によるテロが継続) |
観光インフラ整備状況 | 崩壊(ほぼすべての空港・道路・ホテルが利用不可) |
政治・経済の安定性 | 完全に崩壊(国土分裂状態) |
女性旅行者の安全性 | 極めて低い(移動中の誘拐・性犯罪リスクが非常に高い) |
イエメンも、国際機関・日本外務省ともに「渡航中止・退避勧告」の対象国です。どんな理由があっても訪問は避けましょう。
第3位:イラク
イラクは、過去20年以上にわたって続く戦争と政情不安により、依然として世界でも最も危険な地域のひとつです。
首都バグダッドや南部の一部都市では一時的に治安が改善した時期もありましたが、現在もテロ、武装勢力による襲撃、誘拐事件が続発しており、日常生活レベルでの危険が常に付きまといます。
特に、外国人に対する誘拐・身代金目的の犯罪リスクは非常に高く、一般の旅行者が安全に移動できる環境とは到底言えません。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率(推定) | 正確な統計なし(爆破テロ、暗殺、誘拐など重犯罪が頻発) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 100件以上(武装組織ISISの残党活動も継続中) |
観光インフラ整備状況 | 極めて限定的(一部地域を除き、安全な移動は困難) |
政治・経済の安定性 | 不安定(政府の統治力が弱く、各地で民兵組織が台頭) |
女性旅行者の安全性 | 極めて低い(公共の場でも暴力・誘拐リスクが高い) |
イラクへの渡航は、外務省から「渡航中止勧告(レベル4)」が出ており、例外的な事情がない限り立ち入るべきではありません。また、現地に滞在中であっても、大使館や関係機関との緊密な連絡体制が必須です。
第4位:アフガニスタン
アフガニスタンは、タリバン政権復活以降も治安が著しく悪化しており、一般市民、特に外国人に対するリスクが非常に高い国です。
都市部では一見落ち着いて見える場所もありますが、爆破テロや銃撃事件が突発的に発生しており、旅行やビジネス目的での渡航は極めて危険です。
女性に対する抑圧的な政策も進行しており、外国人女性に対するリスクも過去最高レベルに達しています。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率(推定) | 正確な統計なし(強盗・誘拐・暗殺などが日常的に発生) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 数百件以上(イスラム国(IS)系組織のテロ活動が活発) |
観光インフラ整備状況 | ほぼゼロ(安全に利用できる交通・宿泊施設は皆無) |
政治・経済の安定性 | 完全崩壊(タリバンによる強権統治、経済破綻) |
女性旅行者の安全性 | ほぼ皆無(外出自体が禁止対象、誘拐・暴力リスク極高) |
現在、アフガニスタン全土は「渡航中止勧告(レベル4)」が発令されています。
滞在すべき理由がない限り、渡航は絶対に控えてください。

第5位:レバノン
かつては「中東のパリ」と称されるほど魅力的だったレバノンですが、ここ数年で治安情勢は劇的に悪化しています。
経済危機に伴う社会不安、政治混乱、さらに隣国シリアとの国境付近では武装勢力の影響も強く、外国人にとっても無視できないリスクが広がっています。
特にベイルート中心部では比較的安全なエリアもありますが、デモ、暴動、強盗事件などが突発的に発生しており、油断は禁物です。
また、ヒズボラなど武装組織の存在も依然強く、外国人が政治関連施設や集会に近づくことは非常に危険です。
指標 | 内容 |
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犯罪発生率(2024年) | 1000人あたり約4.5件(強盗・詐欺・誘拐事件が目立つ) |
テロ事件発生件数(過去5年) | 約20件(主に国境地帯・政治施設周辺で発生) |
観光インフラ整備状況 | 都市部では整備されているが、地方部では機能不十分 |
政治・経済の安定性 | 非常に不安定(経済崩壊・政府の統治能力低下) |
女性旅行者の安全性 | 中程度(都市部では比較的安全だが、地方ではリスク高。服装マナーは必須) |
レバノンを訪れる場合は、必ず最新の治安情報を入手し、デモ・集会には絶対に近づかないことが鉄則です。
また、緊急時に備えて大使館への連絡手段を常に確保しておきましょう。
中東の治安はなぜ悪化するのか?5つの理由

中東全体がなぜこれほどまでに治安問題を抱えているのか?
この章では、単なる「危ない」という表面的な話ではなく、歴史的・社会的な背景に踏み込んで、治安悪化の根本原因を5つのポイントに絞ってわかりやすく解説していきます。
長引く内戦と政治的対立
中東では、20世紀以降、国境線の引き方や宗教、民族問題を発端とする内戦が各地で頻発しています。
特にシリア、イエメン、イラク、アフガニスタンでは、長期にわたる武力衝突が日常化し、国家そのものが機能しなくなるケースも少なくありません。
国家レベルで治安維持ができないため、無法地帯が生まれ、犯罪やテロリズムが蔓延する悪循環が止められないのです。
和平交渉も多くは失敗しており、地域ごとに軍閥やギャングが支配する「統治の空白地帯」が増えているのが現実です。
宗教間の対立とテロ組織の台頭
中東では、イスラム教スンニ派とシーア派の対立が根深く続いており、これが武力衝突や内戦の火種となることが多々あります。
宗派間の緊張は国家間の対立にも発展し、サウジアラビアとイランのように、代理戦争のような形で他国を巻き込んだ争いにも発展します。
さらに、こうした混乱を背景に、アルカイダやISISといった過激派組織が台頭し、民間人を巻き込んだ無差別テロを各地で引き起こしています。
一般市民や観光客にとっても、これら組織のテロ行為は直接的な脅威となっています。
武器の流通と民間人の武装化
中東地域では、過去の戦争や内戦を通じて膨大な数の武器が市中に流れています。
カラシニコフ自動小銃(AK-47)などの小型武器が簡単に手に入り、民間人でも銃器を持っているケースが珍しくありません。
このため、軽犯罪でもすぐに銃撃事件に発展するリスクが高く、ちょっとしたトラブルが命に関わる大事件になる可能性があります。
警察の取り締まりも追いつかないため、暴力が日常に浸透してしまっているのです。
経済格差と若年層の失業問題
中東の多くの国では、富裕層と貧困層の格差が極端に広がっています。
特に若年層の失業率が非常に高く、仕事がない若者たちが犯罪や過激派組織にリクルートされるケースが後を絶ちません。
希望のない生活に追い詰められた若者たちが、武器を手にしてでも生活を変えようとする――この構造的な問題が、地域の治安をさらに悪化させる大きな要因になっています。
腐敗と治安機関の機能不全
中東の多くの国では、警察や軍、政府自体が腐敗しているケースが珍しくありません。
汚職が蔓延し、賄賂がなければ正義が通らない社会では、犯罪者が堂々と活動できてしまいます。
また、法の支配が徹底されていないため、犯罪に巻き込まれても警察がまともに対応してくれない、あるいは逆に警察官が犯罪に加担しているというケースも。
治安機関が機能しない国では、自己防衛だけが頼みの綱になってしまうのです。
中東全体の治安状況を解説
ここでは、単に「安全・危険」と国単位で分けるだけでなく、そもそも中東という地域がどういう背景を持ち、どんな要素が治安に影響しているのかを俯瞰的に解説していきます!
中東地域とは?対象国と文化背景
まず「中東」とは、地理的な枠組みであり、厳密な国境線があるわけではありません。一般的には、
- アラビア半島:サウジアラビア、UAE、オマーン
- レバント地域:シリア、レバノン、ヨルダン、イスラエル
- 北アフリカの一部:イラン、イラク
を含めることが多いです。
文化的には、イスラム教を中心とする宗教色の強い社会が多いですが、宗教、民族、言語、経済レベルは国ごとに大きく異なります。
たとえば、ドバイのように超近代化が進んでいる都市と、伝統的なイスラム社会が色濃く残る都市とでは、同じ中東でも雰囲気がまったく違います。
この多様性があるため、国や都市によって治安レベルも大きく異なるわけです。
治安に影響を与える3つの要素(宗教、政治、経済)
中東の治安を語るうえで、特に影響力が大きいのが以下の3要素です。
イスラム教内部でのスンニ派・シーア派対立、異教徒間の摩擦が長年にわたる武力衝突の背景にあります。
宗教的な聖地をめぐる争いや、宗教原理主義運動の影響も無視できません。
王政、独裁体制、脆弱な民主主義など、政治体制の違いによって治安に大きな差が出ています。
政治的混乱が続く国では、テロや暴動が日常化する傾向が強くなります。
石油資源に恵まれた国は経済が安定している反面、資源に依存できない国では貧困と失業問題が深刻です。
この経済格差が、犯罪や社会不安の根本原因となっています。
つまり、宗教、政治、経済の三拍子が安定している国(例:UAE、カタール)は安全度が高く、どれか一つでも崩れている国(例:イラク、シリア)は急速に治安が悪化する傾向があるのです。
外務省によると治安は△

日本の外務省が発表している中東地域全体の治安評価を見ても、多くの国は「十分注意(レベル1)」「不要不急の渡航は止めてください(レベル2)」に分類されています。
さらに、イラク、シリア、イエメン、アフガニスタンなどについては「渡航中止勧告(レベル3〜4)」が出ており、渡航自体が推奨されていません。
また、最近の世界情勢(イスラエル・パレスチナ問題、イランと欧米の緊張など)を考えると、中東全体の治安は「油断できないが、国と地域によって大きな差がある」というのが正確な表現です。
旅やビジネスで訪問する際は、必ず外務省の「海外安全ホームページ」で最新情報を確認してから行動しましょう。
【実例紹介】中東で外国人が巻き込まれた主な事件
中東地域では、外国人がテロや誘拐、暴力事件に巻き込まれるケースが過去にも数多く報告されています。
この章では、実際に起きた主要な事件をピックアップし、そこから学べるリスクや注意点を具体的に解説していきます。
サウジアラビア:TikTok動画で外国人女性が逮捕
2023年、サウジアラビアで外国人女性がTikTokに投稿した動画が問題視され、逮捕される事件が発生しました。動画の内容が現地の宗教的価値観に反するとされ、公共の秩序を乱したとして拘束されました。
- 宗教・文化的価値観に反する服装や言動に注意
- SNS投稿が問題となる可能性あり
イラン:英国系旅行者がスパイ容疑で拘束
2019年、英国とオーストラリアの二重国籍を持つ旅行者がイランでスパイ容疑により拘束されました。彼らは観光ビザで訪問していたものの、ドローンでの撮影や軍事施設付近への立ち入りが問題となり、数か月にわたる拘留に発展しました。
- 軍事施設や政府関連エリアでの撮影は禁止
- 観光でも「スパイ行為」と見なされる危険がある
イエメン:外国人ジャーナリストが武装勢力に拘束
2022年、フリーの外国人ジャーナリストがイエメンの反政府武装組織フーシ派によって拘束されました。彼は人道支援の実態を取材していたところを拘束され、数週間にわたり連絡が取れなくなりました。
- 紛争地域や治安の悪い地域への渡航は厳禁
- 特に報道関係者は標的となるリスクが高い
レバノン:爆発事件に外国人も巻き込まれる
2020年、ベイルート港で起きた大規模爆発では、多数の外国人が死傷しました。旅行やビジネスで滞在していた外国人も多く、ホテルや大使館関係者も被害を受けました。
- 滞在先の治安状況や施設の安全基準も確認
- 渡航前には外務省などの安全情報をチェック
イスラエル:ロケット攻撃で旅行者が巻き込まれるケースも
パレスチナ・ガザ地区との紛争激化時には、イスラエルの観光都市テルアビブやエルサレムにもロケット弾が着弾し、観光客が避難を強いられるケースがあります。2021年の紛争時には、多くの外国人が空港閉鎖やホテル避難を余儀なくされました。
- 渡航先の政治・軍事情勢をリアルタイムで確認
- 紛争地域周辺では避難経路やシェルター情報を把握
【女性向け】中東旅行で気をつけるべきこと
中東を旅するうえで、女性にとって特有のリスクや注意点はやっぱり無視できません。
この章では、現地文化に敬意を払いつつ、安全に楽しく旅をするために知っておきたいポイントを詳しく解説していきます!
服装のマナーと現地文化への配慮が必要
中東では、イスラム文化の影響が色濃く残る地域が多く、露出度の高い服装はNGです。
特にモスクや宗教施設では、女性は肌を隠す服装(長袖、長ズボン、スカーフなど)が求められます。
観光地でも、タンクトップやショートパンツはトラブルの元になりかねません。
「郷に入っては郷に従え」という意識を持ち、できるだけ現地の女性の服装スタイルに合わせることで、不必要な注目を避けることができます。
また、カタールやUAEなど一部リベラルな国でも、ショッピングモールやレストランでは控えめな服装が推奨されます。
男性との接触や写真撮影に関する注意
中東では、男女間の接触に非常に厳格なルールを持つ国もあります。
例えば、握手一つとっても、男性から先に手を差し出さない限り、女性から触れるのはNGという国が多いです。
公共の場で男性と親しく話したり、腕を組んだりするのも誤解を招く原因になりかねません。
また、現地の男性や子供の写真を撮る場合も要注意。イスラム文化では、写真撮影を嫌がる人も多く、特に女性や宗教関係者を無断で撮影すると大きなトラブルに発展する可能性があります。
写真を撮る前には必ず一言断る。これが中東では鉄則です!
夜間の一人歩き・交通手段の使い方に注意
中東では、治安が良いとされる国(UAE、カタールなど)でも、夜間の一人歩きは基本的に避けるべきです。
犯罪リスクが低くても、万が一トラブルに巻き込まれる可能性を考えれば、安全策を取るに越したことはありません。
また、交通手段についてもポイントがあります。
タクシーを利用する場合は「流しのタクシー」に乗らず、ホテルが手配する正規タクシーや配車アプリ(Uberなど)を使うことが絶対条件です。
特に夜間は、見知らぬ個人タクシーに乗ることは絶対に避けましょう。
交通や移動で迷った場合も、現地の女性スタッフや観光案内所を頼るのが安全です!

【まとめ】中東治安ランキングからわかる注意点と対策
ここまで紹介してきたように、中東と一口に言っても治安状況は国ごとに大きく異なります。
アラブ首長国連邦やカタール、オマーンのように安心して観光できる国もあれば、シリアやイエメン、イラクのように命の危険すらある国も存在します。
中東を訪れるなら必ず覚えておきたいポイント
- 渡航前に外務省の最新情報を確認すること
→ 渡航可能な国・地域か、常に最新の渡航警戒レベルをチェックしましょう! - 現地文化や宗教へのリスペクトを忘れないこと
→ 服装、振る舞い、宗教行事中のマナーなど、中東独特の文化に合わせることがトラブル回避の第一歩です。 - 安全な交通手段を選び、夜間行動を控えること
→ ホテル手配のタクシー、配車アプリ利用は必須。夜間の単独行動は避けるのが基本です。 - 非常時に備えた準備を怠らないこと
→ 大使館の連絡先を控え、緊急時の避難経路や集合場所を頭に入れておきましょう。
「中東=危険」という単純な見方ではなく、国・地域ごとの事情を正しく理解し、慎重に行動すれば、素晴らしい文化と自然、歴史に触れる貴重な体験ができるはずです。
リスクを正しく怖れ、万全な準備で、安全かつ楽しい旅をしてください!