東南アジアの中でも、独特の文化や仏教建築の美しさで知られるミャンマー。
かつてはバックパッカーや少人数のツアー旅行でも人気を博し、バガンやヤンゴン、インレー湖などを訪れる日本人旅行者も少なくありませんでした。
しかし、2021年の軍事クーデター以降、情勢は一変。
現在ではミャンマー旅行を「危険」と捉える声が圧倒的に多くなっており、外務省からも渡航中止勧告(レベル3〜4)が出され続けています。
SNSなどで一部旅行者の訪問報告があったとしても、それが安全な証拠とは限りません。
本記事では、現在のミャンマーにおける治安状況・渡航制限・旅行者への具体的な注意点について、丁寧に解説していきます。
※2025年3月28日に震度7.7の地震がありました。3月29日現在での最新情報は「ミャンマーでマグニチュード7.7の大地震発生」から確認できます。
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ミャンマー旅行は危険?現在の状況を解説

旅行先としてのミャンマーに対し、「危険」という言葉が多用されるようになったのは、2021年2月のクーデター以降です。
このクーデターにより、民選政権が崩壊し、再び軍部が国家の実権を握ることとなりました。その結果、全国で政治的不安と武力衝突が常態化し、観光どころではない治安状況が広がってしまったのです。
以下では、現在のミャンマーのリアルな実情を3つの視点から解説していきます。
軍政と武装勢力の衝突が日常化している現地の実情
ミャンマー国内では、政府軍(国軍)と複数の少数民族武装組織、さらに新たに結成された反政府勢力(人民防衛隊)との間で、至るところで小規模〜中規模の衝突が日常的に発生しています。
特に、国境付近のカチン州、チン州、カヤー州、シャン州の一部では事実上の内戦状態が続いており、民間人の巻き添えや村落の破壊も報告されています。
さらに、こうした武力衝突が観光地から遠く離れた場所だけに限られているわけではありません。
ヤンゴンやマンダレーといった主要都市でも爆発事件や銃撃、軍による強制的な立ち退きなどが発生しており、「安全な場所」と言い切れる地域が非常に少ないのが現状です。
観光目的で訪れたとしても、突発的な騒乱や交通遮断、外出制限に巻き込まれる可能性が高く、結果として旅行の継続が不可能になるケースも多々あります。
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治安部隊による検問・拘束・行動制限が行われている

軍政下のミャンマーでは、外国人に対しても例外なく厳しい監視体制が敷かれています。
空港や主要道路では頻繁に検問が実施され、ホテルに宿泊する際もパスポートの提示はもちろん、どこで何をしていたかを細かく尋ねられることもあります。
さらに、写真撮影やSNS投稿といった行為も「スパイ行為」や「政治的な意図がある」と誤解される恐れがあり、その結果として、拘束や尋問、場合によっては強制送還につながるケースも実際に発生しています。
特に報道関係者や、ジャーナリスト的な発信活動を行っている旅行者は、“取材目的”とみなされて拘束された事例もあり、慎重すぎるほどの行動管理が必要です。
旅行者を狙った軽犯罪も多い
現在のミャンマーでは、旅行者を狙った軽犯罪が複数報告されており、観光の際には十分な注意が必要です。特に、以下のようなトラブルが現地で発生しています。
■ よくある軽犯罪の例
犯罪の種類 | 内容 |
---|---|
スリ・置き引き | 市場、バス・駅、観光名所などの混雑エリアで多発。リュックの背中ポケットやズボンの後ろポケットは特に狙われやすい。 |
ぼったくりタクシー | メーターを使わず法外な料金を請求されたり、「料金は後払い」と言って高額請求されるケースも。 |
偽ガイドや押し売り | 「英語ガイド」と名乗りながら、後から高額のチップや手数料を請求するケースあり。露店でのしつこい客引きも多い。 |
偽札・おつり詐欺 | 両替所や小さな商店などで偽札を渡されたり、おつりをごまかされることがある。特に少額紙幣は注意が必要。 |
ミャンマーは文化的に魅力のある国である一方、旅行者を狙った軽犯罪のリスクは決して低くありません。スリや詐欺はどこの国でも起こり得るものですが、言語や文化の違いから対応が難しくなることも多いです。


特に、被害に遭ったあとに警察に通報しても、すぐに対応してもらえないケースもあるため、自己防衛が最も重要です。安全に旅行を楽しむためにも、常に警戒心を持ち、トラブルを未然に防ぐ行動を心がけましょう。
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ミャンマーへの渡航制限と最新の入国条件

ミャンマーは、かつて「微笑みの国」と称され、東南アジアの中でも比較的安全で素朴な旅先として知られていました。
しかし現在では、「渡航そのものを避けるべき国のひとつ」と位置づけられています。
ここでは、日本政府の勧告、入国の可否、必要書類とその変化についてまとめていきます。
外務省は渡航中止勧告を継続中(レベル3〜4)

2021年の軍事クーデター以降、日本の外務省はミャンマー全土に対して「渡航中止勧告(危険レベル3)」または「退避勧告(危険レベル4)」を継続的に発出しています。
【レベル3】渡航は止めてください(全土のほぼ大部分)
【レベル4】退避してください。渡航は絶対にやめてください(一部衝突地域)
このレベル4が出ている地域は、軍と反政府勢力の衝突が激化している地方部で、外国人の立ち入りが非常に危険な状態です。ただし、ヤンゴンやマンダレーなど一部都市部でも情勢が不安定で、突発的な衝突やデモ、爆発事件が起こる可能性があります。
外務省の「たびレジ」に登録しておけば、最新の治安情報を随時受け取れるため、仮に渡航を検討する場合でも、必ず登録するようにしてください。
一部地域では事実上の“渡航禁止”状態が続いている
政府による公式な入国禁止措置は出ていないものの、実質的には「外国人の自由な出入りができない」地域が数多く存在しています。たとえば
- 国境付近の州(チン州、カレン州、カチン州など)では、外国人が入域できない
- 空路で入れる都市は限られており、現地空港が突如閉鎖されるケースもある
- 一部地域はパーミッション(特別許可)なしではホテルに宿泊すらできない
このように、「行けるかどうか」以前に、「その地域がそもそも開かれていない」という状況が続いています。
現地の事情に詳しい現地エージェントでも、行動範囲を保証できないことが多いため、渡航そのものを再考する必要があります。
入国にはビザと追加の審査が必要、規定は頻繁に変化
ミャンマーに入国するには、観光ビザまたはビジネスビザの取得が必要です。
しかし現在、観光ビザの発給は制限されており、ビジネス目的など「特別な理由」がない限り発行されにくい状態です。
また、コロナ以降の影響もあり、入国時には以下のような条件が追加されることがあります。
- 健康診断書の提示
- 滞在先や連絡先の詳細な提出
- 特定の政府認可ホテルに宿泊する義務
これらの条件は、通知なく突然変更・強化されることが多く、最新情報は大使館や在日ミャンマー大使館の公式発表を逐一確認する必要があります。
なお、空港での入国審査では、持ち物やスマートフォンの内容についてもチェックされるケースがあり、政治的な画像・文書・SNS投稿が見つかった場合は入国拒否や拘束の対象となります。
ミャンマー旅行に行く前に知っておきたい5つの注意点

仮にビザを取得してミャンマーに入国できたとしても、それで安全に旅行できるとは限りません。
現地には、軍政下特有の厳しい言論・行動・表現に対する規制が存在し、それを知らずに行動してしまうと、旅行者であっても深刻なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
ここでは、特に注意すべき4つの側面から、旅行者が知っておくべきポイントを紹介します。
撮影・発言・移動における行動制限がある
ミャンマーでは、公共施設や軍関連施設の撮影は当然ながら、市場や街角での何気ない写真撮影すらトラブルの原因になり得ることがあります。それは、現地にいる軍や警察が、「取材」「スパイ活動」などを疑う文化的・政治的背景があるためです。たとえば、
- 軍関係者や車両が映った写真
- デモの痕跡やスローガンのある壁の撮影
- 現地の人々へのインタビュー風の撮影
これらは、明確な意図がなくても当局に通報される可能性があり、カメラやスマートフォンを没収されたり、事情聴取を受ける事例が実際に発生しています。
また、行動範囲にも制限があり、一部の地域や村、さらにはホテルの外出すらも事前申請や許可が必要なケースがあるため、移動には細心の注意を払う必要があります。
通信・ネット環境の制限で緊急連絡が困難になることもある
ミャンマーでは、インターネットの遮断や通信制限が政府によって随時実施されることがあります。
政情が不安定になると、都市部でも突然ネットがつながらなくなる、SNSがブロックされる、携帯電話が通じない、といった状況になることもあります。
旅行者にとってこれは命綱の遮断と同じです。万が一の事態に備えて、以下の準備が必要です。
- 滞在先や緊急連絡先を紙で控えて持ち歩く
- Wi-Fiが切れた際のためにローカルSIMカードを用意する(ただしこれも突然使えなくなるリスクあり)
- たびレジなどの外務省サービスに登録し、出発前に緊急連絡ルートを確保しておく
特に日本大使館と連絡が取れない状況が起きた場合、自力での対応が非常に難しい国です。
そのため、通信に頼らずに行動計画を立てておくことが不可欠です。
寺院・僧侶への接し方、衣服のマナー違反には厳しい

ミャンマーは仏教国であり、寺院や僧侶は日常生活の中心的存在です。
外国人旅行者であっても、信仰への無理解や無礼な振る舞いは非常に嫌われ、社会的に大きなトラブルに発展することもあります。たとえば、
- 肌を露出した服装で寺院を訪れる(ノースリーブ・短パンなど)
- 僧侶に対して話しかける、触れる、写真を勝手に撮る
- 仏像の前で記念写真を撮る際に背中を向ける
これらは現地の人から見ると“信仰への侮辱”と受け取られかねない行動です。
また、ミャンマーでは女性が僧侶に直接手渡しで物を渡すこともマナー違反となるため、ジェンダーに関わる文化差にも注意が必要です。
旅行前には最低限の宗教マナーを調べておくことで、現地の人々とのトラブルを避け、互いに気持ちよく過ごすことができます。
軍政下では言論・表現が制限されている
最後に、何よりも意識すべきは、ミャンマーが現在も軍政下にある国であり、自由な発言・表現は大幅に制限されているという事実です。
観光客だから大丈夫だろう…と油断して、
- 軍に対する不満をSNSに投稿する
- 政治的なTシャツやアイコンを身につける
- 現地の人と「軍についてどう思う?」と聞く
このような行為は、たとえ外国人であっても“政治的関与”と見なされるリスクがあり、拘束・取り調べ・国外退去に発展する可能性があります。
ミャンマーでは、自由な旅行ではなく「慎重な訪問」しかできないという前提を強く持つことが、安全な旅の絶対条件です。
【注意喚起】ミャンマーでマグニチュード7.7の大地震発生
2025年3月28日、ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震が発生しました。震源は第2の都市・マンダレー近郊で、これまでに1000人以上が死亡、2000人以上が負傷する大災害となっています。
現地では多数の建物が倒壊し、通信や交通インフラにも深刻な被害が出ており、今もなお救助活動が続いています。日本人旅行者の中にもけが人が確認されており、旅行者にとって極めて危険な状況が続いています。
主な被害状況
地震発生は日本時間の3月28日午後3時20分ごろ。震源はミャンマー中部・マンダレー付近で深さ約10kmとされており、非常に浅いため揺れが強く、マンダレーや首都ネピドーで甚大な被害が出ました。
現時点での被害は以下の通りです。
- 死亡:1002人
- 負傷者:2376人以上
- 日本人のけが人:2名(命に別状なし)
また、隣国タイでも強い揺れが観測され、首都バンコクでは建設中の高層ビルが倒壊し、5人が死亡、17人がけがをするなど、地震の影響は国境を越えて広がっています。
旅行者は以下の点に留意して行動しましょう。
マンダレー市内では、複数の建物が完全に崩れ落ち、大量のがれきが道路を覆っています。余震も続いており、建物の近くにいること自体が危険な状態です。
地震の影響で、現地では道路の寸断や通信障害(電話・インターネットの不通)が多発しており、救助や連絡手段が制限されています。これにより孤立する旅行者が発生するリスクもあります。
倒壊した建物の下には、今もなお多数の人が取り残されていると見られています。救助隊は活動を続けていますが、道路の損傷やがれきの多さから進入できない場所も多く、救助が遅れている地域もあります。
大地震の10分後にもM6.7の強い地震が発生しており、今後も大きな余震が予想されています。旅行者が余震に巻き込まれる危険性は非常に高いです。
タイ・バンコクでもビルの倒壊が発生しており、建設作業員や近隣住民が被害を受けています。東南アジア全体で旅行者の安全確保が難しい状況です。

まとめ:ミャンマー旅行は外務省によると「渡航中止」レベル
ミャンマーに関心を持っている方の中には、「観光はできるのか?」「現地の人と会いたい」「文化に触れてみたい」といったポジティブな動機で訪問を検討している方もいるかもしれません。
しかし、現実にはその希望を叶えるのが非常に難しいのが今のミャンマーです。
なぜなら、日本の外務省は2021年以降、一貫してミャンマー全域に対し「渡航中止勧告(危険レベル3)」または「退避勧告(レベル4)」を発出し続けているからです。これはつまり、政府が「今は行ってはいけない」「すでにいる人はすぐにでも帰国してほしい」と正式に示している状態だということ。
この勧告が出ている国・地域に対しては、万が一トラブルが発生しても、日本大使館や領事館が十分な支援を提供できない場合があるという前提があります。
ミャンマーのように政治的な緊張と内戦が同時に進行している国では、
- 現地の治安が急変する
- 空港が封鎖される
- 通信手段が断たれる
- 緊急時に国外脱出できない
といった最悪のシナリオが現実になる可能性もあるのです。これは「用心していれば大丈夫」というレベルではなく、状況が予測不可能であること自体が最大のリスクとなっています。
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