中央ヨーロッパに位置するポーランドは、美しい旧市街や荘厳な教会、豊かな自然が魅力の国。クラクフやワルシャワなどの都市を訪れる観光客も増加傾向にあり、近年は日本からの旅行先としてもじわじわと人気を集めています。
しかし、ポーランド旅行を安心して楽しむためには、注意すべきマナーや現地特有のルール、治安事情などを事前にしっかりと把握しておくことが重要です。
この記事では、ポーランド旅行で気をつけるべき7つのポイントとともに、現地で避けるべき行動や入国制限の最新情報まで詳しく解説します。知らなかったでは済まされない旅の基本、ここでしっかりチェックしておきましょう。
ポーランド旅行の注意点は?危険を回避するための方法

ポーランドはヨーロッパの中では比較的安全で親しみやすい国のひとつですが、都市によっては軽犯罪や観光客を狙ったトラブルも起きており、注意が必要な場面があります。
この章では、旅行者が現地で直面しやすい注意点を7つに絞り、回避策も含めてわかりやすく解説します。
スリ・置き引きが主要都市で発生している
ワルシャワやクラクフといった観光都市では、スリや置き引きの被害が旅行者を中心に多発しています。特に人が密集する場所、たとえば中央駅、バスターミナル、旧市街の観光エリアなどでは、スマートフォンや財布を狙った犯行が多く見られます。


被害者の多くは「少しの油断」によって狙われており、バッグを椅子にかけたままにした、カバンの口が開いていた、後ろポケットに財布を入れていたといった行動が原因となっています。
常に手荷物は体の前に持ち、ジッパー付きのバッグを利用することで、こうしたリスクを大幅に下げることができます。

クラクフは治安良好だが、夜の一部エリアでは酔客や違法勧誘に注意

クラクフはポーランドでも特に治安の良い観光都市として知られていますが、旧市街のバーエリアや繁華街では夜間に酔った若者たちによるトラブルが起きることもあります。
また、クラブの呼び込みや「フリードリンク」などの言葉で誘ってくる違法な勧誘も存在しており、安易について行くと法外な料金を請求されたり、窃盗被害に遭うことも。
特に一人旅や女性旅行者は、夜の一人歩きは避けるか、人気のあるメインストリートを選ぶようにし、裏路地や暗がりには立ち入らないことが安全な行動の基本となります。現地では「NO」とはっきり伝えることが、自己防衛にもつながります。

観光地以外の地方都市では言語の壁や現金対応への備えが必要

ワルシャワやクラクフなど大都市では英語が通じることが多いですが、地方に入ると一気にポーランド語のみの環境になることがあります。また、小規模な商店やローカルレストランでは、クレジットカードが使えないことも珍しくなく、現金(ズウォティ)での支払いが必要になる場面が多いのです。
日本とは異なり、「英語が通じるだろう」という前提で行動すると、ちょっとした買い物や移動でもストレスを感じることがあります。あらかじめ簡単なポーランド語の挨拶や数字、支払いに関するフレーズを覚えておくと、現地の人とのやり取りがスムーズになります。
また、ATMは主要駅やショッピングセンターに多く設置されていますが、到着初日に少し多めに現金を用意しておくのが安心です。
公共交通機関のチケットを打刻しないと罰金対象
ポーランドでは、バスやトラム、地下鉄などの公共交通機関を利用する際に、「チケットを購入しただけでは不十分」という点に注意が必要です。
乗車前または車内に設置されている機械で「打刻(バリデーション)」を行わなければ、そのチケットは無効扱いとなり、抜き打ちの検札で見つかると罰金(約300ズウォティ=日本円で1万円前後)が科されます。
観光客だからといって例外はありません。特にワルシャワやクラクフなどの大都市では、検札係が私服で車内を巡回していることも多く、打刻を忘れたことで観光客がトラブルに巻き込まれるケースもあるのです。
チケットを購入したらすぐに打刻するクセをつけること、また時間制チケット(15分・30分・90分など)の有効時間を確認しておくことが重要です。
信号無視やゴミのポイ捨てにも罰金制度がある

ポーランドでは、公共のマナー違反に対する罰則も厳しく設定されています。たとえば、信号無視やゴミのポイ捨ては、外国人旅行者であっても容赦なく罰金が科されることがあるので注意が必要です。
信号が赤の状態で横断した場合、ポーランド警察に見つかると即時に罰金(最大で500ズウォティ以上)を請求されることもあります。特に監視カメラが設置されている交差点や中心部の広場では、観光客でも厳しく見られているため、慎重に行動しましょう。
同様に、飲み終えたペットボトルやガムの包み紙をその場で捨てる、タバコの吸殻を路上に落とすといった行為も、街の景観とマナーを大切にする市民からは非常に嫌がられ、通報されることすらあります。
「ちょっとだけだから大丈夫」という気持ちが、予期せぬトラブルにつながるのが海外旅行です。
流しの車は観光客料金になることも
タクシーを利用する際にも注意が必要です。ポーランドの都市部では、「流しのタクシー」と呼ばれる正規でない車両が、観光客を狙って高額料金を請求するケースがあります。
たとえば、空港や駅の前に停車しているタクシーに乗っただけで、メーターを使わず法外な料金(通常の3倍〜5倍)を求められるといった被害が報告されています。これを避けるには、
- 正規のタクシー会社の車両(会社名が車体に明記、料金表が貼られている)を選ぶこと
- 「Bolt」や「FreeNow」などの配車アプリを利用して事前に料金を確認してから乗車すること
が推奨されます。近年ではアプリ経由の配車サービスが広く普及しており、言葉が通じなくても安心して使える手段として活用できます。
レストランで出る食事はかなり量が多い
ポーランドの料理は味がしっかりしていて美味しいものが多いですが、一皿あたりの量が非常に多いという点に注意が必要です。特にディナータイムのレストランでは、スープ・前菜・メインをフルで注文すると食べきれないほどのボリュームになることもあります。
無理に完食しようとすると体調を崩してしまうこともあるため、注文は慎重に、シェアや少量メニューの選択も考慮すると良いでしょう。また、残した食事は持ち帰り可能なレストランも増えているので、「Can I have a box, please?」と尋ねれば快く応じてくれる場合が多いです。
旅行中の体調管理のためにも、美味しい料理との「ほどよい距離感」を保つことが大切です。
ポーランドで「やってはいけないこと」文化・歴史への無理解がトラブルに

ポーランドは温かく親切な国民性を持つ一方で、歴史や宗教、礼節に対して非常に敏感で、特定の言動が無意識のうちに失礼や誤解を招くことがあります。
この章では、旅行中にやってはいけない代表的な行為と、その背景にある文化や価値観を紹介します。トラブルを避け、現地の人々と気持ちよく接するためにも、しっかりと理解しておきましょう。
ナチス関連の話題や「ジョーク」は厳禁。非常に敏感な国民性
ポーランドは第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによる甚大な被害を受けた国です。アウシュビッツをはじめとする強制収容所の跡地が観光地として残されていることからも分かるように、ポーランド人にとってナチスの記憶は今も深い傷として残っています。
そのため、旅行中に
- 「ドイツ人と似ているね」といった軽い言葉
- ナチスをネタにしたジョーク
- 戦争を茶化すような話題
は絶対にNGです。たとえユーモアのつもりでも、相手にとっては冒涜や無知と受け取られ、大きなトラブルに発展する可能性があります。
また、アウシュビッツなどを訪れる際も、観光地としてではなく「慰霊と歴史を学ぶ場」であるという意識を持つことが非常に重要です。
写真撮影や私語などにも配慮し、厳粛な気持ちで訪れるよう心がけましょう。
宗教施設では露出のある服装や騒音はNG
ポーランドはカトリックの信仰が非常に深く、国民の約90%がカトリック教徒です。教会は単なる観光スポットではなく、信仰の場であり、神聖な空間として人々にとって日常的に大切にされている場所です。
そのため、教会や修道院などを訪れる際には以下のようなマナーを守る必要があります:
- ノースリーブや短パン、ミニスカートなど露出の多い服装は避けること
- 内部では静かに行動し、大声での会話やスマホの着信音などに注意すること
- ミサ中の出入りや写真撮影は控えること
また、旅行の途中で気軽に立ち寄る場合でも、ストールや羽織りを一枚持っていれば柔軟に対応できます。
宗教施設では「観光客であっても信者と同じマナーを求められる」という心構えが必要です。
知らない人に過剰に話しかけたり触れたりすると警戒される
ポーランド人は基本的に穏やかで礼儀正しいですが、プライベートな領域や距離感には非常に敏感です。
日本人が好意で行うような行動でも、見知らぬ人に急に話しかけたり、身体に触れる(肩を叩く、背中を押すなど)と、驚かれたり不審に思われたりすることがあります。
特に電車やカフェなどで、隣の席の人と気軽に世間話を始めるのはあまり一般的ではありません。
むしろ、相手から距離を置かれることもありますので、公共の場では控えめに振る舞い、相手の反応を見ながら距離を縮めることが大切です。
また、親切心からでも子どもに話しかけたり、写真を撮ろうとする行動も誤解を招く可能性があるため慎重に行動する必要があります。文化的な距離感の違いを理解し、ポーランドの人々のリズムに合わせる姿勢が好印象につながります。
日本人が気になるポーランド入国制限の現状とは?

世界的なパンデミックを経て、各国で入国規制やビザ要件に大きな変化がありました。ポーランドも例外ではありませんが、2025年現在、日本人にとってポーランドは比較的スムーズに入国できる国のひとつとなっています。
とはいえ、旅行前には「今の入国状況はどうなっているのか?」「ビザは必要?」「空港で何を聞かれるのか?」といった疑問や不安もあるはず。この章では、日本人が知っておくべきポーランド入国の最新事情について詳しく解説していきます。
現在、日本人は観光目的でビザなし入国が可能(90日以内)
ポーランドはEU加盟国であり、シェンゲン協定に参加している国のひとつです。そのため、日本のパスポートを持つ旅行者は、観光・ビジネス・家族訪問などの短期滞在(最大90日)であれば、ビザなしで入国が可能となっています。
この90日間は、ポーランド単独ではなく、シェンゲン圏全体での滞在合計日数になるため、たとえばドイツやフランスなどを経由して入国する場合は、トータルの日数をしっかり把握しておく必要があります。
長期滞在や就労、留学目的などでの渡航の場合は、在日ポーランド大使館でのビザ申請が必要です。
COVID-19の入国規制はすでに解除、ワクチン証明等も不要
2023年に入り、ポーランド政府は新型コロナウイルスに関連する入国制限をすべて撤廃しました。
これにより、日本人を含む外国人旅行者は:
- ワクチン接種証明書
- 陰性証明書
- 到着後の隔離措置
などを提出・実施する必要は一切ありません。 空港での健康チェックも原則行われておらず、パンデミック前のようなスムーズな入国が可能となっています。
ただし、感染状況は流動的であるため、旅行前にはポーランド外務省や在日大使館の最新情報を確認するのが賢明です。
出入国時には目的や宿泊先の質問を受けることもある
ビザなしで入国できるとはいえ、入国審査では滞在目的や滞在先についての簡単な質問を受けることがあります。
特に、以下のような内容を聞かれることが多いです:
- 何日間ポーランドに滞在するのか?
- 滞在先のホテル名や住所は?
- 帰国便の航空券はあるか?
- 滞在中に訪れる予定の都市は?
答えに迷ったり、宿泊先の詳細が不明確な場合は、入国審査に時間がかかることもあるため、事前にホテルの予約確認書や帰りのフライト情報をスマホなどに保存しておくと安心です。
また、ポーランドでは不法就労や長期滞在を防ぐための管理も強化されているため、たとえ観光目的でも「疑わしい」と判断されれば入国を拒否されるケースもゼロではありません。
誠実かつ落ち着いた受け答えを心がけましょう。
まとめ|ポーランド旅行の注意点を理解して快適な旅行を!
ポーランドは、美しい旧市街、豊かな自然、歴史的建築物、そしてどこか懐かしさを感じる街の空気が魅力的な国です。
ヨーロッパの中でも比較的物価が安く、治安も良好な部類に入りますが、油断してしまうとトラブルに巻き込まれる可能性があるのも事実です。
この記事で紹介したように、旅行中は以下のような点に気をつけて行動することで、より安全かつ快適な旅を楽しむことができます。
- スリや置き引き対策を徹底し、荷物の管理は慎重に
- 文化や歴史に対する敬意を忘れず、タブーを避ける
- 宗教施設や公共の場でのマナーを守る
- 公共交通のルール(打刻など)を守り、罰金トラブルを防ぐ
- 気候や言語の違いを意識し、柔軟に対応できる準備をする
また、現在は日本人にとってビザなしでの入国が可能で、COVID-19の制限も解除されていますが、入国時の質問や書類チェックには備えておくべきです。
「知らなかった」では済まされないルールや文化もあるため、渡航前のリサーチと心構えが、安心できる旅につながります。
ポーランドの優しさと奥深さに触れながら、気持ちよく旅を終えるために――この記事が少しでもその手助けになれば幸いです。どうぞ、安全で素敵な旅を!