スペインの治安が悪いと言われる理由は?現在の治安と治安が良い都市と悪い都市も紹介

スペインの治安が悪い理由

情熱の国スペインは、サグラダ・ファミリアやアルハンブラ宮殿、美食とフラメンコなど、旅行者を惹きつけてやまない魅力にあふれています。しかし、観光先としての人気とは裏腹に、「スペインって治安が悪いんじゃないの?」「スリが多いって聞いたけど本当?」といった不安の声も後を絶ちません。

本記事では、「なぜスペインは治安が悪いと言われているのか」という疑問に対し、その背景や現地の実情を詳しく解説します。また、現在の治安状況、危険なエリアと安全な都市、さらに日本人が陥りやすい文化的ギャップまで幅広くカバー。

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目次

スペインは「治安が悪い」と言われる理由

サクラダファミリア

スペイン旅行を検討する人々の間で「治安が悪い」というイメージが広まっているのには、いくつかの明確な背景があります。この章では、治安の悪さが語られる原因や社会的要因、そして観光客が特に狙われやすい理由について深掘りしていきます。

観光大国としてスリが日常化している

スペインはヨーロッパでも有数の観光大国であり、世界中から年間何千万人もの旅行者が訪れています。観光業が活発なことは経済にとっても大きなプラスですが、その一方で、観光客を狙った軽犯罪、特にスリや置き引きが“日常の風景”になっている都市も多いのが現実です。

とくにバルセロナやマドリードなどの大都市では、公共交通機関や観光名所でのスリが後を絶ちません。犯罪者にとっては、旅行者=警戒心が薄く、現金や高価なカメラ・スマートフォンを持っている人、という認識があり、ターゲットとして格好の存在になっているのです。

こうしたスリは、組織的に動いているグループも多く、非常に巧妙な手口で近づいてくるため、現地の人でも被害に遭うことがあるほどです。観光地の華やかさの裏に、こうした現実が潜んでいるという事実を、まずは知っておく必要があります。

経済格差・若年失業率の高さが軽犯罪を増加させている

スペインは近年、経済的には徐々に持ち直してきてはいるものの、若年層の失業率が依然として高く、社会的格差が根強く残っている国でもあります。特に移民人口が多い都市部では、安定した職に就けない若者が増えており、その一部が軽犯罪へと手を染めてしまうという構図が生まれています。

また、観光都市では「犯罪で得られる金銭」が想像以上に大きく、スリや詐欺といった行為が“生活の手段”として定着してしまっているケースも少なくありません。

つまり、スペインで軽犯罪が多いのは、ただの文化や治安意識の問題だけでなく、経済や社会構造が関係している深刻な側面でもあるのです。旅行者にとっては、それを背景として理解することで、単なる「気をつけよう」以上の警戒心が養われます。

警察の対処が軽く、観光客は狙いやすいと認識されている

もう一つ、スペインでの治安の悪さが指摘される理由として、警察の対応が「軽い」と感じられるケースが多い点があります。もちろん全ての警察官がそうというわけではありませんが、スリや置き引きといった軽犯罪に対しては捜査が積極的に行われず、被害届を出しても進展がないまま終わるという話はよく聞かれます。

このような状況から、犯罪者側にとっても「捕まるリスクが低い」「観光客はすぐに国に帰るので追及されにくい」といった心理が働き、ますます観光客が標的にされやすくなるという悪循環が生まれています。

被害を受けた旅行者が警察署に駆け込んでも、「それはよくあること」と言われて対応が後回しになることもあり、実質的に“泣き寝入り”になってしまうケースも少なくありません。

現在のスペイン治安はどうなっているのか?

スペインパトカー

スペインにおける治安の印象は「昔より悪くなった」「旅行先として不安」という声がある一方で、「昼間は安全」「事前対策すれば問題なし」といった声もあります。ここでは、最新の治安状況を外務省の発信や現地事情をもとに紹介し、今のスペインが本当に“危険”なのかを客観的に掘り下げていきます。

外務省は一部地域に“十分注意”を呼びかけている

スペインの治安(外務省)

日本の外務省が発信している海外安全情報では、スペイン全体の危険度はそれほど高くはありませんが、一部地域については「十分注意してください」という警告レベル1が継続中となっています。これは主に、テロやデモ、窃盗などの可能性を踏まえてのものです。

とくに首都マドリードやバルセロナの一部地域は、夜間の外出や人混みでの貴重品管理に注意するよう強く推奨されています。近年は観光客が狙われる犯罪が急増していることもあり、危険エリアを事前に把握することが、旅行の安全性を大きく左右します。

また、政治的に不安定な場面や、大規模イベントがある時期は、突発的なデモや抗議行動が起こることもあるため、外務省の最新情報を出発前にチェックしておくことが重要です。

地元警察の人員不足により一部エリアは実質“無防備”状態

近年のスペインでは、特に地方都市や観光地の周辺で、警察官の配置数が足りていないという問題が深刻化しています。その結果、特定エリアでは「警官が巡回しておらず、実質的に無防備な状態」となっており、犯罪が発生しても対応が後手に回ることがあるのです。

これはコロナ禍以降の財政調整や、観光客の急増による“対応しきれない現場”が背景にあり、旅行者にとっては、見た目の安全さと実際の治安とのギャップに注意が必要です。

とくに「安全そうに見える観光地=安全」だと油断してしまうケースが多く、外見的な清潔さや観光客の多さに安心してしまうと、思わぬタイミングでスリや詐欺に巻き込まれることもあるので、常に自衛の意識を持つことが欠かせません。

旅行客の増加により“見えない犯罪”が急増中

2020年以降、一時は観光客が激減したスペインですが、2023年〜2024年にかけてはインバウンド観光が完全に回復し、特に欧州・アジアからの訪問者が急増しています。それに比例するように、旅行者を標的にした「見えない犯罪」も増えているという声が地元警察からも上がっています。

ここで言う「見えない犯罪」とは、暴力や明確な被害を伴わないものの、スリや過剰請求、偽ガイドや路上詐欺など、証拠を残さない形で行われる手口のことです。これらは発見が難しく、警察に通報しても立証が困難なため、加害者が野放しになりやすいという課題を抱えています。

特にアジア人観光客は、「言葉が通じにくい」「強く抗議しない」「貴重品を多く持っている」といった先入観で狙われやすいため、自分の身は自分で守る、という意識が非常に重要です。

スペインで治安が悪い地域・エリア

バルセロナゴシック地区

スペインを訪れる多くの旅行者にとって、どの都市を拠点にするか、どこを観光するかは大きな関心ごとです。ただし、美しい街並みの陰には、軽犯罪が日常化している“注意すべきエリア”も存在します。この章では、旅行者が特に警戒すべきスペイン国内の“治安が悪い”とされる地域やエリアを具体的に紹介していきます。

バルセロナのゴシック地区とランブラス通り周辺はスリ多発エリア

バルセロナはスペインで最も観光客が訪れる都市のひとつであり、ガウディ建築や海沿いの風景など見どころも多いですが、スリや置き引きに関しては“ヨーロッパ有数の危険地帯”とも呼ばれるほど注意が必要なエリアです。

中でも、旧市街にあたるゴシック地区(バリ・ゴシック)や、有名なランブラス通り(La Rambla)周辺はスリの温床とされており、観光に夢中になっている間にバッグの中身を抜き取られたという被害報告が後を絶ちません。

犯罪者の手口は巧妙で、道を尋ねてくる、地図を広げて注意を逸らす、ぶつかってきて財布を奪うなど、まさに「観光客慣れしたプロの犯行」と言えるものばかり。昼夜問わず、人混みに入る時はバッグを前に抱え、スマートフォンの出し入れにも十分注意が必要です。

マドリードのラバピエス地区・ソル駅周辺は夜間の犯罪が多い

マドリードの中でも、ラバピエス(Lavapiés)地区やソル駅(Puerta del Sol)周辺は、夜になると雰囲気が一変するエリアとして知られています。ラバピエスは多国籍な文化が混ざり合うユニークな地域である一方で、薬物使用者や無許可の売り子が多く、夜間は特に注意が必要です。

また、ソル駅の周辺は日中は観光客でにぎわいますが、夜間になると酔っ払い、物乞い、若者グループが集まりやすくなり、スリや押し売り被害が増える傾向にあります。

この地域では、「周囲の雰囲気を感じる感覚」が非常に大切です。もし足早に歩く人が多かったり、同じ人物が自分の後ろをつけてくるように感じたら、すぐに明るい通りやカフェに入るなどの対処を。

また、深夜の一人歩きは絶対に避けるべきです。マドリードは基本的に治安が良い都市とされていますが、一部のエリアは例外であることを覚えておきましょう。

地元住民すら避ける「裏通り」には絶対に入らないこと

スペインの都市には、観光客向けに整備された美しい通りと、観光地から一歩外れた“裏通り”の世界が共存しています。中には、地元の人ですら近寄らないような“危険ゾーン”が存在することも。

これらのエリアでは、人通りが極端に少ない、照明が暗い、ごみや落書きが多い、妙に静かすぎるといった雰囲気の変化が見られます。特に女性の一人歩きや、夜間にGoogleマップを頼りに歩くと、知らずに危険な通りに入ってしまうリスクも。

重要なのは、“道が近いから”という理由だけで裏通りを通らないことです。どんなに遠回りでも、安全な道を選ぶのが旅を快適に保つ最大のコツ。観光地の中心部であっても、一本裏に入っただけで雰囲気が一変することがあるので、目印となる明るい店や大通りを基準に行動するようにしましょう。

スペインの治安が良い都市・エリア

サン・セバスティアン

「スペイン=危ない国」というイメージがある一方で、実際には治安が良く、安心して滞在できる都市や地域も多数存在します。むしろ、都市選びを工夫することで、落ち着いた雰囲気の中で本物のスペイン文化や美食、景観を堪能できるケースも少なくありません。この章では、旅行者にとって“安全に楽しめる”とされるスペインの街を紹介します。

サン・セバスティアンは治安・美食・文化のバランスが取れた街

バスク地方に位置するサン・セバスティアン(San Sebastián)は、スペイン国内でも治安が良い街の代表格として知られています。海沿いの美しい景観、美食の都としての名声、そして落ち着いた街並みは、初めて訪れる旅行者でも安心して散策できる雰囲気を持っています。

特に印象的なのは、地元の人々が親切で、街全体に清潔感と秩序が感じられること。観光地でありながら過剰な呼び込みや押し売りが少なく、一人旅や女性同士の旅行者からも「安心して歩けた」という声が多く寄せられています。

また、犯罪件数もスペインの中ではかなり低く、飲食店やバルでの過剰請求などもほとんど見られません。治安と観光のバランスを重視するなら、サン・セバスティアンは間違いなく“当たり”の都市です。

グラナダ・セビリアなどアンダルシア地方の小都市は比較的安全

スペイン南部のアンダルシア地方には、比較的小規模で落ち着いた都市が点在しています。その中でも特におすすめなのが、グラナダやセビリアといった文化と歴史が色濃く残る街です。

グラナダはアルハンブラ宮殿で有名ですが、市内全体がコンパクトで人の流れが穏やかなため、都市部特有のストレスを感じにくいのが特徴。スリや詐欺に遭ったという声も他の大都市と比べて圧倒的に少なく、地元の人も観光客に対してフレンドリーな印象があります。

セビリアも同様に、旧市街を中心に街歩きを楽しめる都市で、夜の街灯や警察の巡回も充実しており、安心して散策できる環境が整っています。もちろん最低限の注意は必要ですが、治安面で不安を感じることは少ないでしょう。

バレンシアは大都市でありながら治安管理が行き届いている

地中海沿いの港町バレンシア(Valencia)は、スペイン第3の都市でありながら、比較的治安が良く、住みやすい街として地元民にも人気があります。大都市でありながら暴力犯罪や強盗の件数が少なく、観光地としても治安の良さが高く評価されています。

市内には観光スポットがコンパクトにまとまっており、治安の悪い裏通りやスラムのようなエリアがほとんど見られないため、女性の一人歩きでも比較的安心感があります。

また、バレンシアは行政による治安管理が徹底されており、街頭の警察官や監視カメラの設置も進んでいることから、犯罪の抑止効果が高いとされています。スペインの都市の中でも“安全な都会”を求めるなら、バレンシアは有力な選択肢になるでしょう。

スペイン文化が生む「日本人が誤解しやすい」行動

スペインの人々

スペインは陽気でフレンドリーな国民性が魅力の一つですが、その文化的特徴は日本とはかなり異なるため、旅行者が誤解したり、油断したりしやすい場面が多々あります。特にスリなどの犯罪と文化的な行動が重なって見えることもあり、違いを正しく理解することが旅の安全にも直結します。この章では、スペインならではの文化と、それに潜むリスクについて具体的に見ていきましょう。

“親しげな距離感”は実はスリの前兆かもしれない

スペイン人は一般的に親しみやすく、人との距離が近い傾向があります。街で声をかけられたり、道案内を申し出られたり、子どもやお年寄りがフレンドリーに接してくる場面はよくあります。しかしその中には、観光客の警戒心を解くための“前フリ”としての接触も含まれていることがあります。

実際に、優しく話しかけながら肩を抱いたり、バッグに手が届く位置に近づいてくるなど、「なんとなく距離が近いな」と感じた時点で、貴重品の確認をするべきタイミングです。

日本人は「フレンドリー=良い人」という感覚を持ちがちですが、スペインでは“親しみやすさ”の裏に犯罪目的が潜んでいることがあると理解しておくことで、未然に防げるトラブルはぐんと減ります。

日中でも昼寝文化(シエスタ)で店舗や警備が一時的に緩くなる

スペイン独自の文化のひとつに「シエスタ(昼寝)」があります。これは昼食後に仕事を一時中断し、14時〜17時頃まで休憩を取るという伝統的な生活習慣で、現在でも地方都市や個人商店では根強く残っています。

この時間帯は、多くの店が閉まり、警備や人通りも少なくなるため、街全体が“無防備”な雰囲気になります。特に観光地から少し離れたエリアでは、人目がなくなったタイミングを狙ってスリや空き巣被害が発生することも。

日本人旅行者の中には、シエスタの存在を知らずに「昼間だから大丈夫」と油断して人気のない通りを歩く人もいますが、実はその時間帯がもっとも“狙われやすい”タイミングでもあるのです。

街歩きや買い物、移動の計画は、午前中〜昼前、または17時以降に集中させることで、治安リスクを下げることができます。

時間にルーズな国民性から公共交通での混乱が発生することも

スペインでは、「電車が遅れる」「バスの発車時間が突然変更になる」「予約していたツアーが10分遅れて始まる」といったことが、よくある“当たり前のこと”とされています。これはスペインの国民性として、時間に対する感覚が日本よりもかなり“おおらか”であることが理由です。

もちろん、すべての交通機関がルーズなわけではありませんが、日本のような正確さを期待していると、ストレスや混乱を感じやすくなります。また、混乱に乗じて駅構内での置き引き、バス停での押し売りなど、油断をつくような犯罪にもつながりやすいのです。

現地のリズムに合わせて、予定には余裕を持ち、急がないことを前提に行動することで、心に余裕ができるだけでなく、安全面でも落ち着いて判断できるようになります。

まとめ|スペイン旅行では“陽気さの裏の現実”を理解すべき

スペインは情熱的な文化、美しい街並み、そして温かい人々が魅力の国です。しかしその一方で、観光地での日常的なスリ、地域ごとの治安の差、そして文化の違いによるトラブルのリスクも見逃せません。

旅行をより安全で充実したものにするためには、「明るく開放的な雰囲気の裏に、実は犯罪の温床がある」という現実をしっかり理解することが何より大切です。
治安の悪いエリアには近づかない、文化や生活習慣に配慮する、公共の場では常に自衛意識を持つ――。それだけで、スペイン旅行は格段に快適になります。

「陽気さ」と「警戒心」を両立できる人こそが、スペインを本当の意味で楽しめる旅人です。楽しい思い出をつくるために、ぜひこのガイドを心に留めて、安心・安全な旅をお過ごしください。

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この記事を書いた人

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