「中米の中でも特に危険」と言われ、長い間バックパッカーからも敬遠されてきたエルサルバドル。
ニュースや映画では“ギャングの国”なんて表現されることも多く、「絶対行きたくない国リスト」に入れていた人も少なくありません。

でも近年、状況はガラリと変化しました。ブケレ大統領による強力な治安対策でギャングはほぼ壊滅。以前のように命を狙われるような危険は減り、旅行者にとって「行ってみたい国」へとイメージがアップデートされつつあります。
特に女性にとっては、
- 本当に一人旅できるの?
- どんな犯罪がまだ残ってる?
- 夜やビーチって歩いて大丈夫?
- 服装はどこまでOK?
など、不安や疑問が尽きないはず。
そこでこの記事では、女性旅行者がエルサルバドルを安全に楽しむために「今のリアル」と「知っておくべき新常識」をまとめました。
エルサルバドルの治安【基本情報】女性旅行者が知るべき「今の」リアル


かつて「世界一危険な国」とまで呼ばれたエルサルバドル。
しかし2022年以降、ナジブ・ブケレ大統領による徹底した治安政策が功を奏し、状況は大きく変わりました。
旅行者にとっても安全度は格段に高まり、特に女性の一人旅が現実的な選択肢となりつつあります。
ただし「改善した」とはいえ、油断は禁物。
ここでは今のリアルな治安状況を女性旅行者の視点で整理していきます。


Uber/Indriveの安全性は?女性が夜間に配車アプリを使う際の注意点
エルサルバドルでもUberやIndrive(インドライブ)が使えるので、移動の強い味方になります。特に女性が夜に一人で移動する時には「絶対に流しのタクシーを拾わない」ことが鉄則です。
ただし、配車アプリだからといって100%安心ではありません。
- 車が到着したらナンバープレートとアプリの表示を必ず照合する
- 運転手の顔とアプリのプロフィール写真が一致しているか確認する
- 乗車したら位置情報を友人や家族にシェアしておく
この3つを徹底するだけでトラブルのリスクはかなり下がります。特にIndriveは交渉型で料金が安い分、登録ドライバーの質がUberよりばらつきがあるので注意が必要です。
親切な誘いとナンパの見分け方:女性が知るべき「マチスモ文化」への対処法
中南米特有の「マチスモ文化」は、男性が女性に積極的に声をかけることを“当たり前”とする雰囲気を生み出しています。
エルサルバドルでも、観光客の女性に対して「親切心」なのか「ナンパ」なのか分かりにくいシーンが多いのが現実です。見分けるポイントはシンプルで、
- 公共の場で短い会話 → 比較的安全(道案内や世間話程度)
- 個室や夜の飲みに誘う → ほぼナンパ、断った方が吉
基本的に「必要最低限の会話+笑顔でサッと切り上げる」がベストです。
しつこい場合ははっきり“NO”と言う勇気も必要。日本人女性は「曖昧な笑顔」で誤解されがちなので、毅然とした態度が大切です。
夜のエル・トゥンコは安全?女性がバーやビーチで気をつけるべきこと
サーフシティの中でも人気のビーチタウン「エル・トゥンコ」。昼間はリゾート気分を楽しめますが、夜になると一気にバー街として盛り上がります。音楽とお酒で解放的な雰囲気になり、旅行者も多いので安心感がありますが、ここにも落とし穴が。
- 酔った状態で知らない人について行かない
- ドリンクは手から離さず、置きっぱなしにしない(混入防止)
- 夜遅くなったら徒歩ではなく必ず配車アプリで帰宅
こうした基本を守れば、エル・トゥンコの夜も楽しめます。
むしろ雰囲気は明るく、南米の中では比較的フレンドリーな空気なので、適度に注意を払いながらなら女性一人でも過ごせます。
エルサルバドルの治安:女性が狙われる犯罪手口と具体的な対策


「もう危険な国じゃない」とは言われつつも、旅行者をターゲットにした軽犯罪は依然として残っています。
特に女性は「油断している一瞬のスキ」を狙われやすいので、具体的な手口を知っておくことが大切です。
【手口と対策】カフェやバスでの置き引き:犯人が狙う一瞬の隙とは
旅行者が被害にあいやすいのが、カフェやバスでの置き引き。犯人は「スマホを充電してる間」「トイレに立った隙間」「隣の席にバッグを置いた瞬間」を狙います。
- バッグは常に体に固定(椅子の足にベルトを通すのも有効)
- スマホを机に置きっぱなしにしない
- 長距離バスでは貴重品を座席上の荷物棚に置かない
「ほんの数分だから大丈夫」と思った瞬間にやられるので、“隙を作らない”ことが最大の予防策です。
【手口と対策】カードのスキミング手口:安全なATMの見分け方と現金管理
観光客が狙われるもう一つの手口が、カードのスキミング。特に路上や人通りの少ない場所にあるATMは危険度が高いです。
- 銀行の建物の中に設置されているATMを使う
- 挿入口に不自然な機器が付いていないかチェック
- 暗証番号を入力するときは必ず手で覆う
さらに、現金は一度に大金を引き出さず、分散して管理すると安心です。
セキュリティポーチや体に密着させる財布を使うのも女性旅行者にはおすすめです。
【手口と対策】偽Uberや白タクへの注意喚起:ナンバープレート確認の徹底
配車アプリが広がったことで「偽Uber」によるトラブルも報告されています。特に夜の繁華街では、アプリで呼んだふりをして近づいてくる白タクがいるので要注意。
- 車のナンバープレートとアプリの表示が一致しているか
- 運転手の顔写真と本人が一致しているか
- 乗車前に名前を確認して「○○さんですか?」と聞く
この3つを徹底すれば、偽Uberに乗ってしまうリスクはほぼゼロにできます。
【手口と対策】首都の旧市街や特定の地区:女性が決して近づいてはいけない場所
サンサルバドルには観光客に人気のスポットがある一方で、今も地元の人ですら避けるエリアが存在します。旧市街の一部や治安の悪い住宅街はその典型です。昼間でも女性一人で近づくのは危険で、夜はなおさら。
観光客が安全に歩けるのは
- 新市街
- 大型ショッピングモール周辺
- 観光向けに整備されたビーチエリア
など限られた場所です。Googleマップの口コミや現地宿スタッフのアドバイスを頼りに「行っていい場所」と「避けるべき場所」を見極めるのが重要です。
女性が安全なエルサルバドル旅行をするための治安対策【準備編】


現地で安全に動くためには、出発前の準備がかなり大事です。特に女性の場合は「万が一」を想定した装備や手続きが安心につながります。ここでは旅行前に揃えておきたいポイントを紹介します。
クレカ付帯で十分?女性に嬉しい「携行品損害」と「治療費用」の補償額
「クレジットカードに海外旅行保険がついているから大丈夫」と思っている人も多いですが、内容をよく確認するのが重要です。特に女性にとっては次の2つがポイントになります。
- 携行品損害:スマホやカメラ、アクセサリーが盗難にあった場合の補償
- 治療費用:体調不良やケガで病院にかかった時の費用補償
クレカ付帯保険だと治療費の上限が100〜200万円程度で心もとない場合も。中米の私立病院は診察だけで数万円、入院すればあっという間に100万円超になることもあるので、追加で保険に加入しておくのが安心です。




出発前に必ず登録!「たびレジ」でデモや災害の最新治安情報を得る方法


外務省が提供している「たびレジ」は、日本人旅行者にとって心強いサービス。名前やメールアドレス、滞在予定地を登録しておくと、現地でデモや災害が発生した時に最新の治安情報がメールで届きます。
エルサルバドルでは大規模デモや道路封鎖が突発的に起こることもあるので、事前登録しておくだけでトラブル回避の確率がぐっと上がります。無料なので必須です。
南京錠とセキュリティポーチは必須?女性目線の防犯グッズリスト
現地で役立つ防犯グッズは、実際に使うシーンを想定して準備すると失敗がありません。
- 南京錠:ホステルのロッカーやバス移動時の荷物固定に便利
- セキュリティポーチ:パスポートや現金を体に密着させて持ち歩ける
- ワイヤーロック:大きなバックパックを固定して置き引きを防ぐ
- モバイルバッテリー:夜間移動でスマホの電池切れは最大のリスク
女性にとって特に心強いのは「セキュリティポーチ」。バッグの中ではなく、服の下に隠して身につけておけば狙われにくくなります。


「助けて(Ayuda)!」だけでも覚えておきたい、女性のためのスペイン語緊急フレーズ
スペイン語が話せなくても、最低限の緊急フレーズを覚えておくだけで安心度はぐっと高まります。
¡Ayuda!(アユーダ!) | 助けて! |
Policía(ポリシア) | 警察! |
Robo(ロボ) | 盗難です! |
Hospital(オスピタル) | 病院 |
現地の人に緊急事態を伝えられるかどうかは、トラブル時に生死を分けることもあります。紙に書いて持っておくのもおすすめです。
エルサルバドルで治安トラブルに遭った際の女性向け緊急対応
どれだけ準備をしていても、海外では「まさか」のトラブルが起きることがあります。
特に女性の場合は盗難や体調不良など、不安を感じやすいシーンも多いはず。
そんなときにどう動けばいいのかを事前に知っておくだけで、冷静に対応できるようになります。
パスポート紛失!警察署での盗難証明書(Denuncia)のもらい方
もしパスポートを盗まれてしまったら、まずやるべきは最寄りの警察署に行って盗難証明書(Denuncia)を発行してもらうことです。
これがないと再発行や帰国手続きが進まないため、絶対に必要になります。流れはシンプルで、
- 事情を説明(スペイン語が不安なら宿のスタッフに同行をお願いするのもアリ)
- 被害品や場所、時間をできるだけ詳しく伝える
- 盗難証明書(Denuncia)を受け取る
盗難に遭った時点で「英語が通じない」「どう伝えたらいいか分からない」と焦りやすいですが、証明書さえもらえればその後の手続きはスムーズに進みます。
日本語は通じる?女性も安心できるサンサルバドルの私立病院リスト
もし体調を崩したりケガをした場合、公立病院は混雑や設備不足で不安が残るので、私立病院に行くのが安心です。
サンサルバドルには外国人が利用しやすい私立病院がいくつかあり、英語が通じる医師もいます。代表的な病院には、
- Hospital de Diagnóstico(ホスピタル・デ・ディアグノスティコ)
- Hospital Centro Médico Escalón(セントロ・メディコ・エスカロン)
日本語は基本的に通じませんが、英語が話せる医師が対応してくれるケースが多いので、症状を簡単な英語か翻訳アプリで伝えると安心です。
最後の砦!在エルサルバドル日本国大使館にできること・できないこと
最悪の場合は在エルサルバドル日本国大使館に駆け込むこともできます。大使館では、
- パスポートの再発行や帰国のための渡航書の発行
- 犯罪被害や事故に遭った際の現地手続きサポート
- 医療機関や弁護士の紹介
といったサポートが受けられます。
ただし「お金を貸してくれる」「ホテルや病院に送迎してくれる」といった直接的な助けはできません。大使館はあくまで手続きを支える存在と理解しておきましょう。
まとめ:治安は劇的に改善、でも油断は禁物。正しい知識で安全なエルサルバドル旅行を!


エルサルバドルは「世界一危険」と言われた時代からは想像できないほど、今は旅行者に優しい国へと変わりつつあります。女性の一人旅も現実的になりましたが、それでもスリや置き引きなどの軽犯罪はまだまだ健在です。
- 行っていい場所・避けるべき場所を見極める
- 配車アプリや保険、防犯グッズを賢く使う
- 万が一のトラブルでも慌てず冷静に動けるよう準備しておく
この3つを意識すれば、エルサルバドルは決して怖い国ではなく、むしろ「まだ知られていない穴場リゾート」として楽しめるはず。正しい知識と少しの警戒心で、安心して中米の魅力を味わってみてください。