カラフルな街並み、陽気なマリアッチ、タコスにテキーラ、そして古代文明の遺跡…。
メキシコは観光資源が豊富で、世界中の旅行者を惹きつける国です。
その一方で、「メキシコは治安が悪すぎる」「やばい」という声が後を絶たないのも事実です。
メキシコでは年間2万人を超える人が殺人の犠牲になっており、観光地でも銃撃事件が起きています。
では、なぜメキシコはここまで治安が悪いのでしょうか?
この記事では、メキシコの治安が悪い理由を麻薬カルテル・汚職・貧困などの背景から解説し、最新の統計や外務省の危険レベル、避けるべき地域、女性旅行者が注意すべきポイントまで詳しく紹介します。
- メキシコの治安が悪い6つの理由
- 2025〜2026年の最新の治安状況と外務省の危険レベル
- 避けるべき危険な都市・地域
- 日本人・女性旅行者が狙われやすいリスクと対策
リスクメイト笑顔「なぜ危険なのか」を知っておくと、どこで何に気をつければいいかがはっきりします。メキシコ旅行の前にぜひ読んでくださいね!
メキシコの治安が悪い理由とは?「やばい」と言われる6つの背景


メキシコの治安が悪い理由は、ひとつではありません。
麻薬カルテルの存在、アメリカと接する地理的条件、警察・政治の汚職、貧困と格差などが何十年にもわたって絡み合い、現在の状況が生まれています。
ここでは、メキシコの治安が悪い根本的な理由を6つに分けて解説します。
理由①麻薬カルテルが「影の国家」として影響力を持っている


メキシコの治安が悪い最大の理由は、麻薬カルテルの存在です。
これらの組織は単なる裏社会の集団ではなく、経済・政治・司法、さらには一部の自治体にまで影響を及ぼす「影の国家」のような権力を持っています。
代表的なのが「シナロア・カルテル」や「ハリスコ新世代カルテル(CJNG)」です。
近年は麻薬だけでなく、恐喝(みかじめ料)、燃料の盗難、人身売買など資金源を多角化しており、警察が立ち入れない地域も各地に存在します。
2025年にはアメリカ政府がこれらのカルテルを「外国テロ組織」に指定するなど、国際的にも深刻な脅威とみなされています。
理由②世界最大の麻薬市場アメリカと国境を接している
メキシコは、世界最大の麻薬消費国であるアメリカと約3,000kmの国境で接しています。
南米で生産されたコカインや、メキシコ国内で製造される合成麻薬フェンタニルなどをアメリカへ運ぶルートは莫大な利益を生み、その密輸ルートと国境の通過拠点を巡ってカルテル同士が激しく争っています。
さらに、アメリカから密輸される大量の銃器がカルテルの武装を支えている点も深刻です。
2025年のメキシコの殺人のおよそ7割は銃器によるものでした。
理由③カルテル同士の抗争・分裂に市民が巻き込まれる
カルテル同士の抗争は、組織のトップが逮捕・殺害されるたびに「後継者争い」や「分裂」によって激化する傾向があります。
例えばシナロア州では、2024年に大物幹部がアメリカで拘束されたことをきっかけに、カルテル内部の派閥抗争が始まり、州都クリアカンを中心に暴力が急増しました。
抗争の場は、住宅街やレストラン、観光地にまで及びます。
標的とは無関係の市民や観光客が流れ弾に当たる事件も起きており、高級住宅街や人気リゾートでも例外ではありません。リスクメイトにも次のような投稿が寄せられています。
メキシコ
傷害/殺人
訪問日
2024年
投稿日
2025年
【メキシコシティ】普段は穏やかな高級地区ポランコの商業施設のレストランで銃撃が発生し、1人が死亡。カルテルの抗争とみられています。
理由④警察・軍・政治家にまで汚職が広がっている
メキシコでは、市民を守るはずの警察がカルテルと癒着している事例が後を絶ちません。
賄賂によって捜査が止められたり、警察官そのものが犯罪グループと通じているケースもあり、「誰を信じていいのか分からない」という不信感が社会に広がっています。
旅行者にとっても無関係ではありません。
交通違反をでっち上げて「罰金」を請求されるなど、警察官が関わるトラブルも報告されています。
メキシコ
ぼったくり/詐欺
訪問日
2024年
投稿日
2025年
【メキシコ】レンタカーで速度に気をつけて運転していたのに、警察に速度違反だと言われ罰金を取られた。その影響で飛行機にも乗り遅れてしまった。
理由⑤事件の多くが未解決のまま終わる「不処罰」の問題
メキシコでは、犯罪が起きても多くの事件が捜査されず、犯人が処罰されないまま終わってしまうと指摘されています。
「罪を犯しても捕まらない」という状況が犯罪を助長し、被害者も報復を恐れて声を上げられない悪循環が続いています。
また、麻薬組織や政府の不正を報じようとしたジャーナリストや人権活動家が殺害される事件も毎年のように起きており、メキシコは「記者にとって世界で最も危険な国のひとつ」と言われています。


理由⑥貧困と格差が若者をギャングへと向かわせる
メキシコには高級リゾートや発展した都市がある一方で、大きな貧困と格差があります。
教育や仕事の機会に恵まれない若者が、生活の手段としてカルテルに取り込まれるケースは少なくありません。
その結果、10代・20代の若者が見張り役や殺人の実行犯として利用される事例が多く、組織が摘発されても新たな構成員がすぐに補充される構造が続いています。
- 麻薬カルテルが経済・政治にまで影響力を持っている
- 麻薬の巨大市場アメリカと国境を接し、密輸ルートを巡る争いが絶えない
- 幹部の逮捕などをきっかけにカルテルの抗争・分裂が起きる
- 警察・軍・政治家の汚職が蔓延している
- 事件の多くが解決されず、犯人が処罰されない
- 貧困と格差により若者がギャングに取り込まれる



いろいろな問題が何十年も積み重なっているから、簡単には解決できないんですね…。
数字で見るメキシコの治安|2025年は改善傾向も「危険な国」であることは変わらない
「メキシコの治安はどのくらい悪いのか」を、最新の統計と外務省の危険情報から確認してみましょう。
2025年の殺人は約2万8,000件、10万人あたり21.4件
メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)の速報値によると、2025年の殺人件数は約2万8,000件で、前年から約16%減少しました。
人口10万人あたりの殺人率は21.4件で、近年では低い水準となっています。
とはいえ、日本の殺人率(10万人あたり約0.2件)と比べると約100倍にあたり、1日あたり70人以上が殺害されている計算です。
減少傾向にあるとはいえ、依然として世界的に見て非常に危険な水準であることに変わりはありません。
殺人が多い州・少ない州の差が大きい
メキシコの治安は、州によって大きく異なります。
2025年に殺人件数が多かったのは、グアナフアト州、メキシコ州、バハ・カリフォルニア州、チワワ州、ミチョアカン州、ゲレーロ州、ハリスコ州で、この7州だけで全国の半数以上を占めました。
人口あたりの殺人率では、コリマ州、モレロス州、サカテカス州、バハ・カリフォルニア州が高く、反対にユカタン州(メリダ)やカンペチェ州は低い水準です。
「メキシコ全土が同じように危険」ではなく、地域ごとの差を知ることが重要です。
外務省の危険レベル|ゲレーロ州チルパンシンゴはレベル3
日本の外務省は、メキシコに対して地域ごとに危険情報を出しています(2026年4月8日更新)。
- レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)…ゲレーロ州チルパンシンゴ市及びその周辺
- レベル2:不要不急の渡航は止めてください…タマウリパス州、シナロア州、サカテカス州、コリマ州、ゲレーロ州(チルパンシンゴ周辺・タスコ市を除く)、ミチョアカン州(一部地域を除く)、グアナフアト州南部(セラヤ市、サラマンカ市など)、ハリスコ州南部(トマトラン市、チャパラ湖など)、チワワ州シウダー・フアレス市、バハ・カリフォルニア州ティフアナ市
- レベル1:十分注意してください…メキシコシティ、キンタナ・ロー州(カンクンなど)、オアハカ州、ユカタン州周辺など上記以外の多くの地域
2026年4月の更新では、タマウリパス州とハリスコ州南部がレベル2に引き上げられました。
渡航前には必ず外務省海外安全ホームページで最新の情報を確認しましょう。


メキシコで特に治安が悪い・避けるべき危険地域


メキシコでは、観光地の中にも安全とは言いがたい場所があります。
「有名な都市だから」「リゾート地だから」と油断せず、地域ごとの危険度を理解したうえで行き先を選ぶことが大切です。



危険度は地域によって全然違います!行き先が危険エリアに入っていないか確認しましょう。
シウダー・フアレス・ティフアナ|アメリカ国境の密輸拠点
アメリカ国境沿いのシウダー・フアレス(Ciudad Juárez)とティフアナ(Tijuana)は、いずれも外務省のレベル2に指定されています。
アメリカへの密輸ルートを押さえるため、複数のカルテルが抗争を続けている地域です。
- たまたま通りかかった車が銃撃を受ける
- レストラン内で抗争が起き、無関係の客が巻き込まれる
- タクシーに乗っていて対立勢力の車両に追跡される
このような「その場にいただけで巻き込まれる」事件が起きています。
ティフアナはアメリカから日帰りで訪れる観光客も多い街ですが、夜間の外出や郊外への移動は非常に危険です。
グアナフアト州・サカテカス州|内陸部でもカルテルの抗争が深刻
中央高原のグアナフアト州は、2025年に全国で最も殺人件数が多い州でした。
燃料パイプラインからの盗油などを巡ってカルテルが争っており、セラヤ市やサラマンカ市を含む州南部は外務省のレベル2に指定されています。
同州のイラプアト市では、2026年7月にATMで現金を引き出した直後の邦人が強盗に遭う事件も報告されています。
隣接するサカテカス州も州全体がレベル2で、警察官の殺害や政治家への脅迫が相次いでいます。
メキシコ
強盗/窃盗
訪問日
2026年
投稿日
2026年
【イラプアト市】2026年7月8日の夜、ショッピングモール近くの銀行ATMで現金を引き出した直後の邦人が強盗の被害に遭いました。
アカプルコ・カンクン|リゾート地でも銃撃事件が起きている
かつてハリウッドスターも訪れた高級リゾートのアカプルコ(ゲレーロ州)は、近年カルテルの抗争の場となり、外務省のレベル2に指定されています。
ビーチ沿いでの銃撃や、ホテル近くで遺体が見つかるといった事件も報じられています。
日本人に人気のカンクン(キンタナ・ロー州)はレベル1ですが、ホテルゾーンのビーチで銃撃戦に遭遇したという体験がリスクメイトに寄せられています。
「観光地だから安全」という思い込みは禁物です。
メキシコ
傷害/殺人
訪問日
2024年
投稿日
2025年
【カンクン】ホテルゾーンのビーチでマフィア同士の銃撃戦が発生。銃声が響き、周りの人が一斉に走って逃げたので自分も逃げた。
長距離バスでの移動中にも強盗のリスクがある


都市間の移動にも注意が必要です。
メキシコでは、長距離バスが走行中に止められ、乗客が金品を奪われる「バスジャック」型の強盗が報告されています。
リスクメイトには、パレンケからメリダへ向かう一等バスの昼行便でも被害に遭ったという投稿が寄せられています。
移動は日中を選び、現金を分散して持つなどの対策を取りましょう。
メキシコ
強盗/窃盗
訪問日
2024年
投稿日
2024年
【メキシコ】パレンケ→メリダ間の一等バス(昼行便)が突然停車し、警官を装った男たちが乗車。外国人だけ所持品を調べられ、現金を盗まれた。


日本人・女性旅行者がメキシコで狙われやすいリスク
「治安が悪い」と聞いても、自分にどんな危険が関係するのかイメージしづらい方も多いかもしれません。
メキシコでは、日本人であること、そして女性であることが、犯罪の標的になりやすい要因になり得ます。
観光客を狙った誘拐や詐欺事件に巻き込まれるケース
メキシコでは、外国人観光客を狙った短時間誘拐、偽警察による詐欺、ぼったくりタクシーといった手口が多く見られます。
言葉の壁や土地勘のなさから、日本人は「抵抗しづらい相手」「騙しやすい相手」とみなされがちです。
- 空港やバスターミナルで声をかけてきたタクシーに乗り、人気のない場所で脅されて現金を奪われる
- 「警察の検査だ」と言われ、パスポートや所持金を奪われる
- 「無料ツアー」などと誘われ、連れて行かれた先で金品を要求される
「日本人=お金持ち」と見られ、スリや強盗の標的になりやすい


メキシコでは「日本人=裕福」というイメージが根強くあります。
ブランド品を身につけていたり、大きなカメラを首から下げていたりすると、一目で「お金を持っている観光客」と認識されるリスクが高まります。
カフェのような落ち着いた場所でも、隣の席の客にバッグを狙われるスリがリスクメイトに報告されています。
ATMは日中に、銀行内や人目のある場所のものを利用しましょう。
女性の一人旅は性犯罪やハラスメントにも注意
女性が一人で行動していると、現地男性から声をかけられたり、しつこく付きまとわれたりすることがあります。
特にナイトクラブやバーでは、飲み物に薬物を混ぜる性犯罪の事例も報告されています。
見知らぬ人からの飲み物は受け取らない、飲み物から目を離さない、夜遅くの一人歩きはしないといった基本を徹底しましょう。


服装や振る舞いへの文化的な誤解に気をつける


メキシコは開放的なイメージがありますが、地域によっては保守的な文化も根強く、露出の多い服装が思わぬトラブルを招くこともあります。
また、気さくに会話をしたつもりが「好意がある」と誤解され、付きまとわれるケースもあります。
「親しみやすさ」と「隙のある態度」を分けて行動することが、安全な旅のカギです。
女性同士やカップルでの旅行でも、写真撮影に夢中になって荷物から目を離すと、組織的なスリに狙われやすくなります。



メリダのあるユカタン州のように、比較的落ち着いた地域もあります。行き先と行動を選べば、メキシコ旅行を安全に楽しめますよ!
まとめ|メキシコの治安が悪い理由を知って、「どこが・なぜ危険か」を見極めよう
メキシコの治安が悪い理由は、麻薬カルテルの存在、アメリカと接する地理的条件、カルテル同士の抗争、汚職、不処罰、そして貧困と格差という深い社会構造の問題にあります。
2025年の殺人件数は前年より減少しましたが、それでも日本の約100倍の殺人率であり、観光地での銃撃事件も起きています。
一方で、地域によって危険度には大きな差があります。
- 「メキシコは危険」ではなく、「どこが」「なぜ」危険なのかを理解する
- 外務省の危険レベルと最新ニュースを確認してから行き先を決める
- 流しのタクシーや夜間の外出を避け、目立たない服装と行動を心がける
慎重に行き先と行動を選べば、メキシコの魅力を安全に楽しむことは十分可能です。
正しい知識を持って、安全な旅を計画してください。
(本文中の情報は執筆時点のものです。
最新の状況は外務省海外安全ホームページ等で必ずご確認ください。)










